福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-029/036page
研究紹介〜情報ネットワークの教育的活用〜 「Web小学校社会科学習資料集」の作成と活用による社会科学習指導について
〜個に応じた学習指導の充実に向けて〜 教育センター長期研究員 大 塚 克 己1 研究の趣旨
「21世紀教育新生プラン」では,「『生きる力』を培う観点から児童の主体的な学習を一層重視する」という課題を解決するために,基礎・基本の徹底と個に応じた指導の充実が主要施策として掲げられている。また,「新世代型学習空間」の整備が計画され,具現化されようとしている。
一方,福島県内の各小学校では,義務教育で身に付けるべき基礎学力がどの児童にも定着する学習指導の充実・改善に取り組んでいる。また,インターネット接続が計画的に進められており,学校におけるネットワークの利用は,授業改善に大きく貢献するものと考えられる。
本研究は,個に応じた学習指導を充実するための情報ネットワークの教育的活用についての研究である。
作成にあたっては,まず,教科のねらい,各単元ごとの中心概念と基本要素を明確にし,中心概念や基本要素に結びっく具体的事項をデータとして準備した。そして,ネットワークを活用した学習に取り組む過程で,児童が必要な資料を検索・収集する能力,加工・整理する能力,分析・検討する能力,そして,自分が創り出した新しい情報を分かりやすく伝える発信能力などの基礎を養うことができるよう,サーバとしての「cgi」機能,及び「html」「JavaScript」を使用して工夫を加えてきた。
活用にあたっては,指導方法や指導体制の工夫など個に応じた指導の充実に向けた取り組みが容易になるよう,Webの構成にも工夫を加えてきた。
2 研究の意図
(1) 情報ネットワーク活用の必要性から
児童の主体的な学習をさらに充実させるためには,一人一人の児童が自ら課題意識を持ち,自らの課題に対して解決の見通しを立て,計画に従って必要な情報を収集し,それらの情報を整理・活用して,課題を解決していく学習活動の場を保証することが前提となる。これまでも,学習活動の充実のために様々な試みがなされてきた。コンピュータを活用した学習指導の工夫もその一つである。そうした中でインターネットが接続され,ネットワークを活用した学習を進めれば,次のような点で効果が期待できるものと考える。
@学習課題や追究の選択の幅を広げるとともに,一人一人の児童の学習活動に応じたきめ細かな対応が可能
A学級間,学年間,学校間,地域・社会との垣根を低くした一人一人のよさを生かした学習機会の提供
B児童の目線に立った学習活動を取り入れることにより,変化とリズムのある学習の展開が可能