福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-015/036page

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母 親 先生、うちの子によさなんてありませんよ。動作はのろいし、勉強もできないし。
青 山 でも、いやいやながらでも、最後には宿題はやってきますよね。
母 親 そうですね。そういう真面目なところはあるかもしれません。学校から言われたことはやらなくてはいけないという気持ちになるみたいです。
青 山 それは、立派なよさですよ。ほかには、どうですか。
母 親 不思議に鉛筆は夜削っています。寝る前に次の日の準備もしています。
青 山 できていることが、いくつもありますね。
ところで、宿題は、毎日寝る前の時間にだけやっているのですか。宿題でうまくいっていることはなんですか。
 
  (※ ステップ6 例外を探す)
 
母 親 えっ。そういえば一昨日は、帰ってすぐにやっていました。
青 山 それは、すごいですね。何がよかったのでしよう。
母 親 そういえば、その日は珍しく国語のテストの結果を見せてくれました。確か90点だったと思います。あの子が90点を取るなんてめったにないので、がんばったねって、誉めました。
青 山 お母さんに誉められてやる気が出たのかもしれませんね。
あきら君が帰ってからすぐ宿題をやるようになるために、お母さんとしてはどんなことができそうですか。
   
  (※ステップ7 行動指針を考える)
   
母 親 先生と話しながら考えていたのですが、勉強のことでは叱ってばかりいて、誉めることがなかったようです。宿題もやっているときには、当たり前と思わずに、誉めようと思います。
青 山 そうですね。あきら君もきっとやる気が出ると思いますよ。私も、あきら君の宿題には、十分目を通して励ますようにしたいと思います。
さて、そろそろ見通しもついたようなので、今日のお話はこれぐらいでよろしいでしょうか。これからのことですが、2週間ぐらいお母さんも私もあきら君に働きかけてみて、その後電話で話し合うということでは、いかがでしょうか。
母 親 そのようにしてみたいと思います。先生、ご心配いただいてありがとうございます。
よろしくお願いします。

3.おわりに

今回は、保護者相談の一つの方法である「保護者相談の7ステップ」をもとに、解決策探しの対応について考えてみました。相談例として、宿題という内容で話は進めましたが、他の問題への応用も十分可能です。
大切なことは、児童生徒の問題を解決するために、「無いものねだり」から「有るもの探し」へと視点を変えていこうということです。視点を変えることで、保護者との相談も前向きで具体的なものとなり、教師と保護者が一緒になって取り組むことができます。
私たち教師は、児童生徒の成長にとって最も有効なリソースが保護者であることを十分肝に銘じて、保護者との日々の相談に当たりたいものです。

◇参考文献
 「スクールカウンセリング・ワークノート」 黒沢幸子 児童心理連載
 「先生のためのやさしいブリーフセラピー」 森俊夫 ほんの森出版


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