福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-017/036page
― 豊かな教育実践 ―
北山の自然への気付きを深め、愛着を持たせる指導
〜自然との出会わせ方・気付きを広げる支援の工夫を通して〜耶麻郡北塩原村立北山小学校 教諭 阿 部 佳 世
T 主題設定の理由
北山地域は、昔から米作りや野菜作りの盛んな農村地帯で、豊かな自然に恵まれている。しかし、探検活動を通して児童の姿を見ていると、地域の自然への関心が薄いように感じられる。その原因として、自然と接する体験が不足していることが考えられる。
教師側の問題としては、教師自身が地域の自然への理解が十分でないこと、一人一人の思いをとらえていないこと、児童の自然への気付きを広げていないことなどが挙げられる。
以上のことから、本学級における生活科の課題は、「北山の自然への関心を高め、気付きを深める」ことであると考えた。
そこで、児童一人一人の思いをとらえ、自然との出会わせ方を考えて、探検活動を行うことを通して、人・社会・自然の中でも特に児童の自然への気付きを深め、北山への愛着を持たせられるよう、上記の研究主題を設定した。
U 研究仮説
1 仮説
児童一人一人の思いをとらえ、自然との出会わせ方を工夫して探検活動を行い、気付きを広げる支援を工夫すれば、地域の自然への気付きが深まり、愛着を持つことができるであろう。 2 仮説のための理論
(1) 「児童一人一人の思いをとらえる」とは
児童一人一人の興味・関心、やってみたいことをKJ法やイメージマップで調べることによって、児童の思いを生かした活動計画を立てることができるものと考えた。また、カルテや振り返りカードなどを用い、活動中の児童の思いや、様子、変容も見取っていくことにより、適切な支援につなげることができると考えた。
(2) 「自然との出会わせ方を工夫して探検活動を行い」とは
地域の自然について教師自身が理解を深め、児童の興味・関心を引き、探検活動の意欲付けになるような自然素材を提示したり、季節を感じさせる環境づくりをしたりなど、自然にひたって探検活動できるような場を設定することで、自然への関心を高めることができると考えた。
(3) 「気付きを広げる支援を工夫すれば」とは
意欲的に活動している児童の気付きはすべて価値ある気付きであるととらえ、児童の自然への気付きを教師が認めて、驚いたり、共感したり、賞賛したりするとともに、常に他へ広げるような言葉かけを心がけたり、友達の気付きのよさに触れることができるような伝え合う場を設定したりすることにようて、児童自身が、自分の気付きに価値を見出すことができ、意識化されると考えた。