福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-031/036page
〈検証授業U〉
検証授業Uは、一つのオペラ全体を鑑賞する時間である。グループごとに調べたそれぞれの場面の音楽を一つにつなぎながら「カルメン」というオペラを鑑賞した。グループごとに調べることにより、主体的に鑑賞活動をすすめることができた。また、他のグループ発表への期待も高まっていた。本時への期待はとても大きなものになっていたことは確かである。43分強にまとめた「カルメン」のハイライト版を見る生徒の集中は、とても高いものであった。誰一人として飽きることなく、原語で歌われている映像を食い入るように見ていた。初めて、「カルメン」全体を通して見るため、自分たちが調べた音楽がどこの場面に出てくるのかも分からないので、教師が全体の案内役となり生徒たちが発表のタイミングをつかめるよう支援した。また、オペラを、劇場で鑑賞するような雰囲気にしたかったため、音楽室の壁に幕をはり、プロジェクターによって大きな映像で提示する等の工夫をした。「これから、カルメンの第1幕が始まります。聴き覚えのあるテーマソングがいくつか流れます。どうぞお聴きください。今日のオペラの案内役は、先生がつとめます。セビリヤの町の風景です。この町には、どんなお話が生まれるのでしょうか。」といったセリフから教師が案内を開始し「では1班、紹介をどうぞ」という具合に発表にうつらせた。
43分のビデオを一度も止めることなく、生徒たちの紹介原稿だけで一つのオペラを見ていくという形をとることにした。生徒たちの発表の際には、音楽の音量を小さくした。あるグループでは、聴いている友だちにその場面の情景が分かりやすいよう、音楽の途中で短い説明や、楽器の紹介を入れる方法を取り入れたところもあった。さらに盛り上がりを見せる場面の音楽に関しては、集中して聴いてほしいという積極的な要望まで出していた。後者に関しては、教師が、音量の調節に配慮した。
生徒は、オペラの「余韻」を深く味わっていた。なぜなら、ビデオ終了後、誰ひとりロを開く者がいなかったからだ。授業のまとめとなる感想を記入させ、本時を終了した。
(3) 考察
@ 魅力ある教材の選択によって、生徒が主体的に音楽を深く味わって聴く力が育ったか。