福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-018/036page

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山下
そうなんです。もう少し、生徒たちの興味や関心を引き出せるといいんですが。
教頭
もし参考になれば、これは私自身の経験ですが……。
山下先生は、教頭先生の話からヒントを得て、インターネッ卜で魅カある教材を収集したり、貿易の学習では班別に国を決めて輸出・輸入の模擬体験をさせたりするなど、授業の改善に努める姿が見られるようになりました。
《休暇・通院を勧める》
校長先生は、以前から職員の健康に気を配ってきましたが、改めて職員会議の席で次のように話しました。
校長
先生方の日ごろからの努力に感謝しています。ただ、先生方が体調が悪いのにもかかわらず、忙しさと責任感の強さから年休をとらずに頑張っている姿を見ていると、先生方の健康が心配になります。
休まれたときは、みんなでカバーし合いますから、どうぞ肉体的に精神的に疲れたと感じるときは、遠慮せずに休暇をとってください。私自身もそのようにしたいと思います。

養護教諭の野木先生は、山下先生の様子には特に目を配るようにしました。また校医の先生に相談したところ、学校の中での援助の仕方や通院する場合の医療機関についても助言を受けました。
野木
山下先生、今朝は何だか元気なく見えますが、大丈夫ですか。
山下
ええ、ちょっと寝不足で。
野木
そう。朝食は食べられましたか。
山下
はい、朝食は摂ってきました。
野木
調子が悪いときはいつでも言ってくださ
いね。それから、眠れないのが続くようなら、私に相談してください。

その後、山下先生は一度風邪ぎみのところを無理して出勤した際に、校長先生から休養するように勧められ早退しましたが、その後は幸い体調を崩すことなく勤務しています。

話し合いから1か月経ち、香川先生は山下先生の表情が以前より明るくなっていると感じています。は晴れてきたようです。山下先生の憂鬱

3 おわりに

今回は、教職員のメンタルヘルスの在り方、留意点について、「メンタルサポー卜の3つの柱」を基にした支援例を通して考えてみました。

互いに日ごろから弱音や愚痴を気軽に話せる雰囲気をつくっていくことが、健康で明るい職場の土壌となります。
チームで支援する態勢を整えることが、問題が発生しても一人での抱え込みを防ぎ、「支え合い」を現実のものにします。

必要に応じて休むこと、通院を勧めることも同僚の危険を救います。
教師は互いに支え合い、共に心身の健康保持・増進に努めたいものです。教師の健康こそが健全な子どもを育てる原動力なのですから。

◇参考文献
「教師へのメンタルサポー卜Q&A」                  武藤清栄編 日本文化科学社
「学校現場で使えるカウンセリング・テクニック下―問題解決編」  諸富祥彦著 誠信書房
「『うつ』かなと思ったら読む本」                     関谷透著 日文新書
「学校教育相談ハンドブック」                     福島県教育資料研究会編


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