福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-017/036page
長期化を未然に防ぐ最善策となる場合もあるのです。
このときの留意点は、本人が休暇をとることに対して罪悪感や不安感を抱かないように、特に管理職が十分に配慮することです。また、通院に関しては養護教諭が専門的な立場から本人と病院の橋渡し役を果たすなどの支援をすることも大事です。2 「メンタルサポートの3つの柱」
に基づいた支援例
《弱音や愚痴を聴く》
では、「メンタルサポートの3つの柱」に基づいた支援例を見てみましょう。
香川先生は、山下先生と一番話しやすい関係にあるということで、校長先生からも「山下先生の弱音や愚痴を聴いてあげてください。」とお願いされました。
香川先生は、どうしたら山下先生が気楽に自分の気持ちを話してくれるだろうと考えてみました。そして……
香川山下先生、ちょっと話を聞いてもらえますか。 山下ええ、いいですけど。 香川実は、この前、学級の生徒たちを些細なことで怒ってしまい、後悔してるんです。 山下そうなんですか。 香川あのときもう少し自分の心に余裕があったら、あんなにきつく生徒たちを怒ったりしなかっただろうと思うと、何だか自分が嫌になっちゃって。 山下へえー。でも、私もそんなときがありますよ。 香川そうですか。それを聞いて少し安心しました。 山下いえ、私こそ。自分だけがそういう思いをしているのではないとわかりました。 香川先生は、時々自分から山下先生に弱音や愚痴を話すようにしました。すると、山下先生の方からも日ごろの悩みや心配事を少しずつ話してくれるようになってきました。
《チームを組み支援する》
学年主任の春木先生は山下先生を支援するために、週1回の学年会を有効に活用しようと考えました。
春木先生方のおかげで、生徒たちは皆元気に学校生活を送っていますが、中学校生活への慣れもあって、どのクラスにも少し落ち着かない生徒がいるようです。そこで、今日は学年としてその点をどう改善していくか、話し合うことにしましょう。 その後、学年の先生方から、いろいろな改善策が出されました。学年目標、学級目標、生徒個人の学期目標をく学年集会、学級会活動などを通して再認識すること、学級にかかわらず、学年教師団として気になる生徒には声をかけていくことなどが確認されました。
教頭先生は、免許教科が山下先生と同じ社会科であることを生かして、教科指導の話をする機会をさり気なくつくるように努めました。
教頭山下先生は放課後も教科の個別指導をされていて、本当に熱心ですね。 山下いえ、そんなことはないです。 教頭いやいや、思っていてもなかなかできないことですよ。 山下ただ、もう一つ生徒たちの成績が伸びなくて。 教頭社会科に興味を持たせるのは大変でしょう。