福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-033/036page
学習の進め方と評価の観点 学習の進め方と評価の観点
学習者の役割をプレイヤーとそれを観察評価する観察者に分担します。二つの役割は時間で交代し、相互にアドバイスをしながら自分のプレイを振り返ります。ここで必要になるのは、どのようなプレイを「サポートの成立」と見なすかという評価の基準であり、プレイの具体的なめあての設定です。これは、指導する対象のレベルに応じて異なります。最も簡単な例としては、ボール保持者とサポートプレイヤーの間に相手チームのプレイヤーがいないような位置にサポートプレイヤーが移動することが挙げられます。このように、評価規準=プレイのめあての設定(VTR等を活用しての観察学習を行うと効果が大きい)によって、プレイヤーは「サポート」について具体的なめあてを明確に持つことができます。
観察者は「サポート」ができているかを評価しながら記録することができます。大切なことは、実際にパスが成立しない場合(キャッチミス、暴投などによるパスミス、パスが別のレシーバーに出されたときなど)であっても、「サポート」ができている場合は、それを評価することです。観察者は、この活動を通して「サポート」についての認識をさらに深めることができ、それをプレイに活用することができます。
きょうだいチームで相互評価
きょうだいチーム
チーム同士ででき具合や動き方などを観察・評価し合うために二つのグループを合わせて一つのように扱う。リーグ戦などで直接対戦はしない。作戦を共有したり、作戦を試すゲームを行ったり、欠席者を補充し合うこともできる。観察記録をとるとき、1人の観察者が複数のプレイヤーを同時に観察することは困難なので、観察・被観察のペアを決め、時間内に「サポート」が何回出現したかを相互評価します。このとき、「きょうだいチーム制」を利用するとアドバイスなども生じやすくなり効果的です。さらに、「サポート」に関する認識が深まるにつれてアドバイスの内容にも具体性がでてきます。
動きを理解させる簡易ゲーム また、プレイヤーが実際の動きを通して「サポート」の感覚を捉えやすくするための手立てとして、右図のような簡単なパスゲームや1対2、2対3等のオーバーナンバーのゲームなどを工夫します。ゲームの中から「サポート」の感覚をつかませると同時に、基礎的技能といわれているパスやキャッチの精度を高める練習の必要性に気付かせましょう。
以上のように、ボール操作以外のゲームを構成する要素を課題として扱うことにより、様々なゲームの特性に触れ、そのゲームの持つ本来の楽しさを味わうことができるようになっていきます。
参考文献 リンダ・L・グリフィン他著 高橋健夫・岡出美則監訳:『ボール運動の指導プログラム』大修館書店