福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.139(H15/2003.7) -020/036page
るためにモデルが有効であることは、一般的に知られている。また、構成主義学習論によれば、新しい概念が一層わかりやすく、もっともらしくなるように、多くの隠喩、モデル、及びアナロジーも利用すべきだということである4)。
そこで、電流概念の学習には従来水流モデルがよく使われてきたが、それだけでなく、パチンコ玉のモデルや列車のモデルなども用いていくようにする。1つのモデルをいろいろなケースに適用していくことで体系的に考察していくことも大切であるが、概念に広がりを持たせるためと、生徒の数だけ概念形成の仕方が違うということに配慮して、複数のモデルを示していくことも大切ではないかと考えた。
V 研究計画(略)
W 研究の実際と考察
1 検証計画
(1) 事前・事後調査(質問紙、イメージマップ)により生徒たちの変容を把握する。
(2) 自由記述による感想を書かせ、情意面の効果を把握する。2 検証授業計画
(1) 単元名:「電流」 1章 電流の流れ
(2) 単元の目標
電流回路についての観察、実験を通して、電流と電圧との関係及び電流の動きについて理解させるとともに、日常生活と関連付けて電流と磁界についての初歩的な見方や考え方を養う。
(3) 単元の指導計画
授業のねらい・学習内容 仮説との関わり
1 静電気を調べてみよう
(1)静電気による現象(静電気が起きる条件、引力、斥力、放電)について理解 させる。 (2)どんなものでも静電気を起こすことができることと、物質の構成単位である 原子の構造から、電子が静電気の正体であることに気づかせるとともに、 電子の発見の歴史を知らせる。
モデル考察の基礎 (物質の粒子性)
2 電流が流れるのはどんなときか
(1)電池、豆電球、導線を使って明かりがつくつなぎ方を見いださせる作業を通し て、開回路と閉回路の概念を形成させる。 (2) 回路作成作業を通して回路には直列回路と並列回路があることを理解させる とともに、回路図を読み書きできるようにする。
回路作成
回路作成
3 電流は回路をどのように流れるか
(1)電流計を正しく接続し、回路の各点の電流を測定することができるようにす る。また、電源装置を正しく使用できるようにする。 (2)豆電球を使った直列回路で豆電球の両端の電流の大きさを測定させ、電 流が保存されることを見いださせる。 ※定格の異なる豆電球を直列につないだ回路で明るさが異なることを提示した 上で、電流の大きさを考えさせる。 (3)豆電球を使った並列回路で各点の電流の大きさを測定させ、ある1点に流れ 込む電流の和はその点から流れ出る電流の和に等しいことを見いださせる。 (4)直列回路、並列回路を流れる電流について、水流モデルを使って考察させ、 察法則性を説明できるようにする。
回路作成
(回路作成) 認知的葛藤 (回路作成) モデル考察
4 電圧は回路の中でどのようにはたらくか
(1)電池には電流を一定の方向に流すはたらきがあることを見いださせる。 【検証授業 1】 ※電池を異方向に接続した回路を提示して、豆電球がつくかどうかを考えさせ る。
回路作成
認知的葛藤