福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.139(H15/2003.7) -019/036page

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  表1 各設問の意図と出典

設 問
意   図
出   典

1

電流とエネルギー
門馬・吉田1)
2
電流の保存
同上
3
電流の向き
同上
4
電流の保存
同上
5
電流の分岐
同上
6
電流の衝突*
長洲・武田2)
7
電流の衝突*
同上
8
電子の消費*
同上
9
回路の同一性
同上

10

電流の保存
同上
11
電流・電圧概念
後田3)

*電流の衝突及び電子の消費は誤った考えである。

  表2 6つの「電流モデル」(門馬・吉田1)

「電流モデル」名
設問2
設問3
設問4
T.一方向電流保存型 ABCD
←・←
ABCDE
U.一方向電流負荷減衰型 BD
←・←
CE
V.一方向電流負荷・導線減衰型 D
←・←
E
W.二方向電流保存型 ABCD
→・←
ABCDE
X.二方向電流負荷減衰型 ABCD
→・←
ACDE
Y.二方向電流負荷・導線減衰型 CD
→・←
DE

2 仮説のための理論

電流の学習において、多様な回路を分類し、同じ回路や異なる回路を正確に判断する「回路の多様性の理解」が非常に重要であることは、多くの先行研究によって明らかにされている。

また、「回路の多様性の理解」を深めるには、十分な試行錯誤を保障した回路作成体験が有効であるといわれている1・2・3)。さらに、後田によれば、十分な試行錯誤を保障した回路作成体験が生徒の「回路組み立て技能」を向上させ、「回路組み立て技能」を有する生徒の多くは電流や電圧について本質的な理解を深めている傾向にあるという3)。そこで、本研究の基盤として、できるだけ多くの時間にわたって回路作成の機会を設定するような指導計画の工夫が必要であろうと考えた。

(1) について

電流や電圧について誤った概念を持っている、あるいは未熟な概念しか持っていない生徒に対して、それらの転換もしくは再構成を目的として授業を行うとき、「適切な概念形成のためには、認知的葛藤を生起させ、それを解消させることが重要である」という構成主義学習論の主張4)に傾聴するものがあると考えた。つまり、@生徒に認知的葛藤を起こすような問題や事象を提示して、理解の実態を顕在化させる、A認知的葛藤が生じれば、それを解消しようとする原動力が生まれる、Bそこで葛藤の内容に応じた適切な支援をすることによって概念の再構成へと導く、ととらえた。

(2) について

電流・電圧のような抽象的な概念を形成させ


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