国蝶・オオムラサキがすむ里山鮫川村(3/4)

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5月
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五月晴れの空に舞う鯉のぼり。5月の鮫川村は、広大な草原がひときわ目立ちます。鹿角平を泳ぐ鯉のぼりのロープは、全長800メートル。日本一の長さを誇ります。高原に緑が戻ると、人も活気づきます。鮫川村の春まつりは、村の自然の恵みを体中で感じ、喜ぶイベントでもあります。
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時間: 1分34秒
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新緑の季節、緑は完全に村を覆い尽くし、オオムラサキの育つ環境が整いました。越冬幼虫です。自分の落ち着く台座もしっかりと整え、脱皮に備えます。この時点での大きさは2センチ弱。まだまだ赤ちゃんです。こちらは脱皮したての5令幼虫。脱皮を繰り返し、大きくなっていきます。日中は天敵に見つかり易いためじっとしています。ずいぶん大きな幼虫を見つけました。実はこの幼虫はゴマダラチョウの幼虫。背中の突起以外にも顔の色つやで見分けることができます。オオムラサキは終令幼虫になると角の部分が少し青みがかってきます。とにかく、こうしてじっとしていることが多い5月。なかなか食事のシーンが見られませんでした。
6月
時間: 29秒
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6月。村は梅雨に入りました。大地を潤す雨が、村全体の緑にしみていき、緑がひときわ綺麗に見えます。

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時間: 3分50秒
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オオムラサキが育つに連れ、エノキ畑の周りもだいぶ季節感が出てきました。オオムラサキの幼虫も最後の脱皮を終え、終令幼虫になっていました。幼虫は自分の体が大きくなるに連れ、台座を作り直します。こうして糸を吐き出し、幼虫時代最後の我が家を作っていきます。そして美味しいエノキの葉を求め、出かけていきます。このころになると幼虫は一日中動き回り、猛烈にエノキの葉を食べます。上手に前足で葉を押さえながら、美味しそうにもりもり食べます。そしてまた移動開始。オオムラサキの終令幼虫の食事はまるで食べ歩き。移動しては食べ、また食べては移動し、エノキの木を縦横無尽に動き回ります。今はただ、ひたすら食べるのが幼虫に科せられた日課。幼虫はこの後、さなぎ、成虫へと育っていきます。たっぷりと栄養を付けて、立派な、国蝶オオムラサキになって欲しいと願います。たっぷり食べれば出るもの出ます。 ようやく一休み。
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時間: 3分03秒
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この日も終令幼虫は食べ続けていました。数時間後、幼虫が葉の裏に糸を張りだしました。オオムラサキは葉の裏でさなぎを作ります。さなぎになることを蛹化といいます。これはその蛹化の準備です。糸を張り終わると頭を上にして糞を出し続けます。体の中の不純物を全て出します。不純物を出し終わった幼虫は、透明感のあるグリーンに変わっていました。やがて幼虫は逆さになり、さなぎになるのを待ちます。この状態を前蛹といいます。すでにもう、幼虫の体の表面に凹凸ができているようにも見えます。こちらは逆さになって2日目の幼虫。体の色も、淡く透明感のあるグリーンになっています。時折、何かに反応するように動きます。今、幼虫の体の中で着々とさなぎになる準備が行われています。それにしてもこの愛らしい顔。さなぎになったらもう見られなくなってしまうのが、ちょっと残念な気もします。幼虫が時折見せるこの仕草。体のどこかがかゆいのか、詳しくは分かっていません。暫くすると、幼虫の背中の中央に、白い線のような模様が現れてきました。蛹化が近づいてきたことを示します。
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時間: 5分59秒
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翌日、天気は晴れ。予定では、今日、オオムラサキの蛹化が見られるはずです。逆さになってから3日目の幼虫です。昨日よりもさらに、背中のラインがはっきりしてきました。そして体の表面もぼこぼこになっています。体のあちこちで、ぴくぴく、ぼこぼこ。この体がどうさなぎになっていくんでしょう。興味津々です。昼過ぎ、ぼこぼこだったからだが、一転して丸みを帯びてきました。表面にしわのようなものも出てきました。数分後、体の側面に太く白いラインが浮き出てきました。蛹化の始まりです。体全体をくねらせ、表面の皮、表皮を上に押し上げていきます。背中の部分が割れ、中からさなぎが見えてきました。やがて、頭まで完全に割れ、さなぎの形がはっきりと見えてきました。なぜ、あの愛らしい幼虫がこのような姿に変わるのか、ここに生命の神秘を見ているような、そんな気がしました。蛹化が、終わりへと近づきました。ここでちょっと面白い光景を見ることができます。この部分をご覧下さい。 さなぎのお尻の先の部分がまだ宙に浮いています。これから、この部分を抜き出し、葉の裏に吐いた糸にくっつけます。体を大きくそり返し、マジックテープ状になったフックを、自分の吐いた糸に引っかけます。そして、最後に脱いだ皮を落とし、蛹化が完了します。さなぎは暫くこうして動き続け、徐々に静かになっていきます。さなぎの表面をよく見ると、気門と呼ばれる小さな穴が閉じたり開いたり。まるで大きく深呼吸しているようです。やがて表面が乾燥し、蛹化が終了します。ここからおよそ2週間。あの愛らしい幼虫が蝶に変身するのです。卵から孵化しておよそ10ヶ月。ここまでは何事もなく、順調そのものです。しかし、中にはこんな例があります。終令幼虫の背中に、小さな蜂がとまっています。寄生バチです。今、幼虫の体内に卵を産んでいます。この卵は幼虫の体内で孵化し、幼虫から栄養をとって成長します。悲しいことに、この幼虫はもう蝶になることはありません。

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鮫川村、福島クリエーティブ(株)の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。