須賀川市人物読本 先人のあしあと -049/134page
十才ごろから、父について山に行き、切った木を炭がまのところへ運ぶ手伝いをしていました。切りかぶにつまづいて、ころぶこともありましたが、負けずぎらいの亀五郎は、弱音(よわね)をはかず、歯をくいしばって、父の手伝いをつづけていました。小さいころから力仕事を手伝ってきたので、十五、六才ごろには、おとなにも負けない働きをするようになりました。
炭やきの原木(げんぼく)などは、おとなの二人(ふたり)分をかかえるほどでした。それに、急な山を登りおりしていたので、足こしも強く、村の若者の間でも、力じまんでは亀五郎に勝てるものがいませんでした。
栃本村の秋祭りには、村の青年たちが、毎年すもう大会を開くことになっていました。村内だけでなく、谷田川(やたがわ)、田母神(たもがみ)などの村からも、力じまんの若者が集まってきたのです。朝早くから、神社のたいこの音が、村中にひびきわたると、村人たちは、待ちかねたように、子どもをつれて、集まってくるのでした。
祭りの式もおわり、いちだんと力強い大だいこが打たれると、いよいよすもう