北会津村誌 -004/534pag

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ら流れてきた濁川沿いでぬいあわせたようになっているので、会津盆地の南半は大川と宮川の複合した扇状地の地形をなしている。

 詳しくは地形の項と、北会津村の本命ともいうような洪水の歴史で述べるが、大川の古い名は鶴沼川で、扇状地特有の流路の変遷をみると、昔は岩崎山を離れた古い流路は、西北に、盆地南半を対角線状に流れて、今の濁川を合せ、安田・佐布川付近で宮川と合流していた。それより下流は鶴沼川の古い名を、今もそのまま呼んでいることになる。この流路は幾度かの変遷があったが、ほぼ北会津村の南の自然的な境をなしている。

 扇状地はその扇頂付近から、大きく扇形に拡がって下流にいくほど、堆積した砂礫は小さくなっていく。現在ほ表土といっている土壌が表面を蔽うていて、その大部分が豊饒な耕地をなしているから、ちょっと気付かないが、実際にこの扇状地の上に住みつき、朝夕この土地を耕して生活している村の人々は知っているように、この表土は薄皮まんじゅうのように薄く蔽うているだけで、下部は場所によって砂礫の粒の大きさはちがうが、一面に砂礫層が横たわっている。それで水は地下水となってこの砂礫層を伝って流れている。これが噴き出すのは扇状地の末端で、大川沿いの真渡より、鶴沼川沿いの和泉付近の、清水の湧き出る北境がそれに相当し、これが北会津村の北の自然的な境をなしている。

 北会津村は大川と濁川・宮川・鶴紹川にはさまれた複合扇状地を占め、その北限が、ほぼこの扇状地の末端をなしている。この中州、或は川にとりかこまれた輪中(わじゅう)といってもよいような地形そのままが、きびしい北会津村の自然的な地形と、その境界をもつ特性ということになる。この広さはほぼ南北が10キロ、東西は川敷きを含めた、村境ではかってほぼ4.5キロ、総面積は28.08平方キロになっている。経緯度ではかると、中荒井村にある村役場の位置が東経139.52度、北緯で37.29度になっている。盆地底の海抜はほぼ200メー


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