北会津村誌 -072/534pag
第4筆 扇状地の土壌
1、 土 壌 調 査
少し古い調査ではあるが、明治32年から33年にわたって、北会津郡の土性の精査が行なわれている。これは大変珍しいもので、時の北会津郡長松本時正が郡の産業発達を企図して、農事試験場東奥支場長の中村一孝にはかって、農商務省地質調査所に依頼して行なったものである。
昭和38年以来の農業構造改善も全く画期的のもので、驚異的な大事業であるが、明治32年頃の、技術は外国からの受売り時代で、必ずしも、精査といっても、どの程度のものであったか、容易には信じ難いが、当時としては、全国に先がけした画期的の大調査であったかと思われる。
その成果が1万分の1土性図となって立流に刊行され、それには精細を極めた「土性精査説明書」がついている。この全文を掲げることは容易でないので、その大要を図面に写しとって概説しておこうと思う。
2、土 壌 の 特 質
1 扇状地の土性 現在の構造改善で、この表土をはいで見るまでもなく、旧鶴沼川と宮川および現在の大川による複合扇状地で、砂礫層が下部に、部厚く横たわり、薄皮まんじゅうのように表土が覆い、旧河跡が波うつように、扇状に拡がっている。この北会津村の地域には、基盤をなす、周囲の山地を構成するような石英粗面岩とか火山岩屑、粉岩などはなく、水成岩といっても、周縁山地の第三紀の地層そのままはみられない。これら