北会津村誌 -078/534pag
棘があるからとげうお(棘魚)というが、いとよ、はりよ、とみよなどとありいとよ属と、とみよ属に分類されている。会津地方も顕著な生息地帯にあげられ、そのいとよ属の方が住んでいる。山形・新潟・金沢などではいとよと呼んでいるが、会津ではとげちょ、丁寧にはとげうおといっている。
背びれに普通3本、時には4本、5本もあるが、棘がはえており、ほぼ十条ほどの輪形の縞がついている。棘は連続していない。さらに、しりびれに一棘8〜10軟条、胸びれに10軟条、腹びれに一棘または二軟条と、身体一面に棘と縞がある。大きさはせいぜい5〜10センチくらい。遡河型と陸封型とあるそうだが、北会津の清水にすむものは淡水にすむ隆封型である。産卵期になると、雄が体は青緑色になり、ほおが紅色をおびて美しくなる。これを婚姻色と呼んでいる。春、産卵期になると、雄は水草の根もとなどに、小さい鳥のような巣をつくる。その中へ雌は産卵して、夫婦で、この卵や子の保護に当る。この巣にちょっといたずらをすると、棘をひからしたようにして、すうと、追跡してくる姿は傷ましいほどである。子供たちが面白がって、いたずらをすることがある。
遡河型は鮭・鱒と同じく、産卵のために春に河を遡り、稚魚は海へ下って成長するが、親は産卵すると全部死んでしまうという。この類は、会津にはすんでいない。
2、かわなづな、かざぐるまその他
かわなづな 清水の湧出する沼沢地に群生して、生やゆがいて食べている。学名ほおらんだがらしとかおらん