北会津村誌 -079/534pag
だみずがらし、というもので、江戸時代にオランダ人が船でもってきて、長崎で植えて、サラダなどにして食べていたものが、全国に拡がったものといわれる。十字花科の多年生草本で、春より夏にかけて、白色十字形の花を着け、やや短大な莢の実を結ぶ。北会津村の湧水地に多く繁り、俗にかわなづなといっている。
清水のほとりというより、旧河跡の湿地、雑木林などに、いそのき、おおばうめもどき、かざぐるま、おおにがな、あいずすげ、きたよし、れんげつつじ、いぬつげの密生する地域がある。寺堀の西、大竹義一の宅地に沿う雑木林、三反九畝ほどが、その標式的なもので、内二畝歩を天然記念物として、県文化財に指定申請をしたことがある。この中のかざぐるまは、てっせんともいい、蔓になって、夏に白または紫色のかれんな花をつけるので、昔から里人に親しまれている。構造改善によって、これらの大自然のつくりあげた名残の片鱗まであとかたもなくなることには郷愁を覚えさせる。