北会津村誌 -387/534page

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活、民間の伝承生活などの名で呼んでいる。

 その第一に目につくのは、勿論衣・食・住で、家の生活が整い、村の社会生活となり、毎日の生業、慣行的な 年中行事などのように、目にふれ、手に触れてみることのできる生活慣行などである。

 しかし、第二の言葉による生活は、それらの目にふれる生活の裏付けとしては勿論、言葉の伝承だけでも、生 活語彙とか方言・民謡・語り物など、昔話・伝説なども言葉によって伝えられてきた生活である。これらの目に みえない言語生活の伝承のあることは見逃せない。

 さらに、われわれが、目で見られないし、言葉で表現することも容易でない、迷信とか、信仰、さらに予祝、 祈願のような、心意の生活現象がある。みようによっては、生きている総べてが、この心によって支えられてい ることになるかも知れない。

 これらの総べてを、詳細に記録し、考察することは容易でないが、直接、われわれの生活の問題であるから、 及ぶ限り資料をひろくとって、北会津村の人々の生活の位置づけを記述しておこうと思う。

 ただ一つ容易でないことは、福島県の民俗といえば、東北地方の南端を占め、多くの文化が、南の関東地方か ら推移してきているようにみられるから、日本に於ける或る位置づけも考えてみなければならないことである。

 また会津地方といえば、北漸してきた日本文化の主要交通路よりは、はずれており、一部は裏日本の越後文化 の影響をうけているから、会津文化としての特色も育てあげられている。

 しかし北会津村の地域は、自然的にも、会津盆地のほぼ中央部、大川と宮川・鶴沼川の中州に当り、盆地の中 心都市ともいうべき会津若松市は勿論、会津高田町、会津坂下町の何れも盆地周縁の山麓都市になっているので それらを結ぶ主要交通路からみれば、北会津村はそれらの廊下の役目も果しているわけである。村の地域を限る


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