北会津村誌 -451/534page
づいてくる紅葉をみるにつけ、感謝をこめて、この郷土の大自然のあたた かいふところを思いやる人も多いであろうと思う。
さえんばをもって昔より自認している当村では、十月十日に、もう菜の 年越などといって、かぶや大根を食べる日などといっていたと古老は語っ てくれるが、この古老自身これを既に行なっていないらしいから、もう村 人は忘れているかと思う。野菜が早く節を切りあげることから起ったのか も知れない。
十二月にはいると、逐次いろいろの神様の年とりがある。これも一年の 大役を果された感謝がこめられてのことであろう。まず九日が大黒様の年 とり、飯を供えるくらい であるが、平常かて飯を 食べつづけていた頃に、 白米飯か、なかとり飯を選んで供えるところに、現在の人々で はもう気付かなくなった意識があったように思われる。
十二日山の神の年とり、十五日恵比寿様の年とり、十七日産 土神の年とり、十九日馬頭観音の年とり、二十五日納豆の年と り、二十七日煤の年とり、それからはじめてわれわれの年とり になる。歳徳神のお札は多く正月に配って歩いたから、その年