北会津村誌 -452/534page
の春のものを、一年間神棚に供えておいて、十二月三十日に恵方棚な どを特につくって祭る家もある。おぶきや、藁のいじこにご飯をまる めて入れ、藁を箸のようにさしたりする。
会津地方では「雪のようなご飯に紅のような鮭」が年とりさかなの 御馳走で、この晩に年越しそばを食べない家が多い。この紅鮭は山国 の会津では大変な御馳走で、この大切れを、大人と同じく皿にもられ た子供たちは、これを皆食べると、年をとるものであると、思込ん でいたようである。白い米も、かて飯に追われていた人々には御馳走 であったにちがいない。
この神々の年とりを重 ねていくのにつれて、新 年を迎える準備も始めて いく。十二月十三日にお 松迎えをやる。これは門 松を立てることも少ないので、一部の家に限られ、今では、売りに 来る松を買ったりするから、殆ど忘れかけている。
二十三日の節納豆は、正月用の納豆をねせる意味である。二十八 日にすすはきをする。これは年越しのすすはきで、正月の準備であ