北会津村誌 -499/534page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 「女賢(さか)しうして牛売り損う」という諺があるが、これは亭主を釜ゆでにした愚かな妻の聞くも哀れな 妻の物語である。(坂内萬の手記より)

 第九章 子供の遊び

  一、子供の遊びの変遷

 子供は大人の生活の鏡のようなもので、家庭がすさんでくると、子供の遊びも乱暴になるし、時代の推移もよ く写し出している。民具や玩具なども並べてみると、子供の生活の変遷がよくわかるが、北会津村で独特に生産 されたり、特異な使い方も目立たないので、子供の遊びのいくらかの変遷をみようと思う。

 子供が両親の野良の仕事につれだされ、野の自然の玩具、即ち草花をつんでままごとをするとか、粘土をこね て物真似をつくるとかの、自然と生活に直結した遊びは失いかけているようであるが、どうであろうか。機械化 農業、化学肥料、農薬の発明は、農業の一つの大いなる進歩には違いないが、子供はうっかり野良につれて行け なくなったし、一歩誤れば農薬などで病害をさそうことさえある。

 つぎは時代の変遷が、ラジオ・テレビなどの普及によって、あまりに一律に、郷土的特色と無関係に、早く一 色に塗りつぶしてしまうことが惜しまれる。映画の影響などが強く、剣撃の真似をされて困ったと思ったら、今 度はテレビの影響で、伊賀物などの忍者の物真似や、宇宙時代の玩具などを、意味も深く知らないでいじり廻し でいる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県北会津村誌編纂委員会に帰属します。
福島県北会津村誌編纂委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。