須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -092/100page

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初空や松も千歳の深みとり 静雨
翠とはよき名や松の花□は 素信
高き名を松にとゝめて雪の庵 可水
春もまた浅し端山の薄みとり 玄山人更 翠山
  戌のとし春    
     

82 あらし山に遊ひて

   
初花や垣直そうとおもふ内 九起
掃すともよきに清めて花むしろ 浪花 林左
谷越しや夕うくひすの文字(うた)ひ鳴 江戸 見外
治聾酒(じろうしゅ)を老のうへにも頼みかな 近江 九峰
乗らぬ駕釣らすも花の奢(おご)り哉 丹波 湧瀧
  あらし山に遊ひて    
花の香を留てもとるや袖袂 播磨 松聲
見えぬまて跡見て帰る桜かな   宝岳
ひょうたんもけふは世に出る桜哉   龍尾
懸茶屋に馴れぬ娘や初さくら   一思
我世ともおもふ桜のさかり哉   松風
かこつけて廻り道する花見哉   詮之
夜さくらも又一しほの風情かな   蒼渕
江南の札も建たきさくら哉   棧蔦
  杉月堂主人の推挙によって此度    
  九起宗匠より入門の許状を得て    
花の香に見上ける    
      山の高さかな 龍枝軒 笑鼡
     

83 古今百名かるた句集

   
古今百名    
  かるた句集    
         水玉連    
       企  素周    
  古人かるたに記裁の句    
文字に聞はや伊勢の初たより   はせを
傀儡師(かいらいし)阿波の鳴戸を小うた哉   其角
萍(うきくさ)や今朝はあちらの岸に咲   乙由
竹の子やはたけ隣に悪太郎   去来
蝙蝠(こうもり)に顔かられなよ闇の橋   桃隣
手にとるなやはり野に置け蓮花草   瓢水
渋ひかは知らねと柿の初ちきり   千代女
顔見世や壱はん太鼓二番鶏   老鼡
布団着て寝たる姿や東山   嵐雪

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