第2次福島県長期総合教育計画(昭和53年度〜昭和60年度)-153/285page
いる。そのため,教育目標は難聴学級を設置している学校の教育目標に従って実施している。
聾学校の教育課程は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校に準じて編成されているが,障害に
応ずる教育をほどこすため,養護・訓練の時間を特設して・各学年年間105時間から140時間実
施している。
難聴学級の教育課程は小学校,中学校の教育課程に,聴能訓練,養護・訓練を加えて実施して
いる(「教育課程承認申請」(昭51))。
聾学校の指導計画,指導内容については,幼稚園,小・中・高等学校及び聾学校の学習指導要
領に従って計画されているが,障害の多様化に伴い,更に教育目標を具現化してそれに対応する
計画を工夫する必要があろう。
聴覚障害児の百語指導では,早期発見・早期教育が効果的であるため幼稚部の充実が望まれる。
また高等部においては,特に職業教育が重要であるので,その充実を図る必要があろう。
聾学校における指導方法は,言語指導や,聴能訓練について個別的方法をとり,教科等につい
ては口話法による。なお,今後普通学級との交流も十分取り入れる必要がある。
難聴学級対象児の指導方法は,今後普通学級に在籍して,必要により難聴学級において聴能
訓練等を受けられるようにすることが必要である。
(3) 精神薄弱教育(養護学校,特殊学級)
精神薄弱教育の場は,養護学校と小・中学校における特殊学級がある。現在,養護学校では,
養護学校(精神薄弱教育)小学部・中学部学習指導要領を基準とし,特殊学級はそれを参考とし
て教育目標を設定し,教育課程を編成している。教育目標は,普通教育と異なるものではないが,
具体的教育目標になると障害に応じたものとなり,「障害の克服」,「心身の健康」,「身辺自立」,「社
会生活への参加」等が多くとりあげられている(「学校要覧」(昭51))。
教育課程は,各教科,道徳,特別活動,養護・訓練の4領域を内容とするが,実際の指導に当
たっては,統合・合科学習,教科別学習,養護・訓練を主とした学習形態に再編成している。
これを障害別にみると,軽度精神薄弱を対象とする特殊学級では,教科別学習の形態が多く,
中度,重度精神薄弱を対象とする養護学校では,統合・合科の学習形態を多くとっている。
なお,最近,養護学校対象児が重度化するにつれて,養護・訓練を主とした形態が多くなりつ
つある。年間授業時数については,各教科,各領域の配分は別として年間総授業時数は,小・中
学校に準じている(「教育課程承認申請」(昭51))。
教育方法については,各学校で独自の教材,教具を創作したり,ティーム・ティーチング方式
インテグレーションなどが試みられているが,精神薄弱児の状態は様々であり,加えて対象児が
重度化,重複化の傾向にあるので,障害の実態に応じた教育方法が望まれる。
学習評価については,一人ひとりの変容の度合いをは握するように努めているが,一部,児童
生徒の理解や技能の度合に重点をおいた評価の考えにたっている場合も散見される(「教育課程研
究集会資料」(昭51))。
生徒指導は,小・中学校と同様,全教育活動でなされている。精神薄弱教育では,その障害か
ら派生するパーソナリティーのゆがみ,それから生ずる非社会的行動等の2次的障害に対する指
導がその主たるものとなり,生徒指導というよりも,養護・訓練の領域となっている。