第2次福島県長期総合教育計画(昭和53年度〜昭和60年度)-254/285page
2.施策の基本方向
(1) 文化財の指定
文化財の指定は,県文化財保護審議会委員が調査して,指定の推進を図っているが,そのほか
基礎調査として全県規模の悉皆調査を市町村教育委員会の協力をえて実施し,効果をあげている。
従って,今後ともこれらの調査を計画的に実施し,調査資料を基礎として指定の推進を図る。
有形文化財は,近年,各種開発,更に,生活の近代化に伴い,文化財的価値のある建造物など
が消滅する傾向にあるので,建造物をはじめとして,歴史資料など各分野を偏りなく指定を推進
する。また,市町村教育委員会における指定を促進し,有形文化財の保護に努める。
有形民俗文化財は,都市化の進行と生活様式の変化等によって,年とともに消失化の現状にあ
るので,今後更に,基礎調査と資料収集を積極的に進め,指定の推進を図る。また,収集に当た
っては,地域的特色を考慮した有機的,体系的な収集の指導に努め,有形民俗文化財の保護を図
る。
無形民俗文化財,無形文化財は,今後の社会,経済構造の変化とともに,衰亡の方向にあるの
で指定を拡大し,保存措置を講ずるとともに,市町村における指定の促進を図る。一方,後継者を
養成し,無形民俗文化財,無形文化財の保護を図る。
史跡・名勝・天然記念物は,地域開発の進展に伴って,その保存が問題化している。従って,まず
指定区域の拡大を図る。次に指定民有地の公有化を積極的に促進する。
埋蔵文化財は,県土開発に伴い,その保存が緊急課題となっている。従って,試掘調査を拡充
し重要遺跡の指定を推進し,更には民有地を公有化し将来への保存を図る。
(2) 文化財の基礎資料
文化財の指定推進のため,指定調査及び基礎調査を計画的に実施し,調査資料の整備を図ると
ともに,市町村に対しては,これらの資料の積極的な活用を指導する。
第3項 文化財保存
1.現状と課題
(1) 文化財の防災
文化財の防災対策として,所有者または管理団体に補助金を交付して,各種の防火施設,保存
施設,収蔵庫等を設置するとともに,随時パトロール等を行って防火管理上適切な指導,助言に
努めるほか,全国的に文化財防火デーを実施して,平素の心構えを換起するなど,万全を期して
いる。
1) 文化財防災設備
文化財を天災及び人災から守るための施設,設備を整備することは,文化財保存にとって重
要である。本県指定文化財の防災設備の整備状況は表5−3−14のとおりである。
建造物のうち,自動火災報知設備の対象か所は38か所であり,その81.6%にあたる31か所に
ついてはすでに設備されており,末設置のものについては,目下修復中のもの,復元中のもの
及び昭和50年度新たに指定されたものであり,これらを除けば100%の設置となっている。ま