第2次福島県長期総合教育計画(昭和53年度〜昭和60年度)-258/285page
検討を加える。
(3) 文化財保存調査
文化財の保存.管理の最も基礎になるものは,文化財の所在の正確なは握であり,それにはま
ず基礎調査が必要である。従って,文化財基礎調査を更に計画的に実施し,調査資料の整備と記
録の保存を図る。
特に,埋蔵文化財については,より正確な遺跡分布の状況をは握する必要があるので,調査の
うえ市町村別に遺跡分布地図原図と遺跡台帳を整備する。更に,発掘調査に必要准調査員を年次
計画をもって養成し,行政調査の増加に対応した人員の確保を図る。また,開発関係機関との事
前協議のルールを確立し,遺跡保存を図るとともに,保存困難な遺跡については,その記録保存
をするため,発掘調査体制を充実する。また,発掘調査のみでなく,将来の管理,活用をも考慮
した,埋蔵文化財調査センターの設置について検討を進める。
第4項 文化財活用
1.現状と課題
(1) 文化財愛護活動
文化財を守ることは,国民全体の義務であるといえる。しかし,その義務を現実に果すために
は,地域住民が地域の文化財に愛情をもつことが,何よりも大切である。
1) 文化財愛護地域活動
文化庁では,全国的に文化財愛護モデル地区を指定し,文化財愛護地域活動の普及を図って
いる。指定を受けた市町村では,地域に即応した活動を活発に推進している。例えば
ア.文化財学習活動:文化財学級,文化財講演会・その他
イ.文化財諸行事:文化財硬画会,文化財めぐり,文化財展示会及び写真展,その他
ウ.広報活動:文化財パンフレット,文化財通信,その他
2) 文化財愛護活動の奨励,顕彰
文化財保護に関し,県では,文化財保護功労者表彰,団体表彰を行って,文化財愛護活動奨
励のため顕彰している。
3) 文化財研修バス
県では,直接文化財に接し,肌を通して文化財に対する理解を深めるとともに,祖先の遺産
を通じて郷土愛を高め,文化財愛護思想の普及と保存活用の推進を図る自的で,「文化財研修バ
ス」を昭和49年度より運行している。
しかし,文化財を県民共有の尊い財産として愛護,活用する意識は,全体的には低く,個人
の専有物として消失,汚損されるなどの例は少なくない。
従って,今後は,県民の文化財に対する認識を深め,文化財愛護精神の高揚を図るための施策
を推進する必要があろう。
(2) 文化財公開
文化財の公開は,所有者が所在の場所で公開するのが望ましいが,常時公開することのできな
いものもある。民家の場合は,系統的に移築保存するとともに,民家博物館等としての公開も必