サクシード2中学校英語から高等学校英語へ-001/45page

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第1章 パラグラフ・リーディング:「森を見る」読みへ
1 なぜパラグラフなのか?

(1) ひとつの外国語がわかるということ=もうひとつの発想を身に付けること
外国語を修得したいと思うならば、文法力・語彙力などを身に付けることは大事なことです。しかし、英語などの学習においては、文法や語彙を身に付けただけでは十分ではありません。それは、ひとつには、文法というものが一般的にはセンテンス(文)までしか扱わないために、文章全体(あるいはスピーチ全体)の意味を捉える手助けとはならないからです。また、単語について考えてみると、たとえ意味がわかったとしても、単語の並べ方(語順)、さらには文(いくつかの単語からなるもの)の並べ方、文章(いくつかの文からなるもの)のまとまり具合などが日本語と英語では全く違っていて、英単語を日本語と同じ発想で並べてみても、英語にはならないからです。
外山滋比古氏は、その著「英語の発想・日本語の発想」(P.180)の中で、こう述べています―英語さえ話せばこちらの言い分はわかってもらえる。通訳があれば、なんとか意志は通じる。日本人はそう考えてきた。本当の障害は言語そのものではなくて、それによってあらわされる思考過程の順序であるという点に着目した人はこれまであまりなかったのではないか。(中略)文法はセンテンスどまりのことばを扱う。明治以来の"英文解釈法"というものも、英語のセンテンスという意味の"英文"であって、長い文章ということではない。(中略)思考過程を問題にするには、センテンスで考えるよりは、パラグラフの単位で考える方がいっそうはっきりする―と。
つまり、英語がわかるためには、実は、日本語とは違う、もうひとつの発想がわからなければならないのです。そこで、生徒に英語らしい発想を身に付けさせるためには、語や文法を中心としがちであった従来の指導だけでは十分ではなく、語がどのように結び付くかという統語論や文章のまとまり(パラグラフ)という、発想そのものに関する指導が必要となります。未知の単語が多少あっても英文全体の大意がわかるという実践的なコミュニケーション能力を持った生徒を育てるには、特にパラグラフに関する指導が必要となります

(2) 英語の発想では、重要なことが最初に来る
外山滋比古氏は、こうも述べています(「英語の発想・日本語の発想」P.11)―日本語を後方重心型(△)のことばと呼ぶならば、英語は前方重心型(▽)の言語だと言ってよかろう。われわれが英語を読み、話し、聞くとき、この三角形が逆になっているという点をいつも心にとめている必要がある―と。
つまり、長い前置きの後に大事なことが出てくる日本語とは反対に、英語では、話し言葉であれ書き言葉であれ、通常、最初に大事なことが出てくるのです。しかも、

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