サクシード2中学校英語から高等学校英語へ-002/45page

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「サクシード」に示したとおり、1パラグラフ=1トピックですから、話の最初をしっかり聞き取ったり、読み取ったりすれば、その話のポイントはわかることになります。しかし、重要なことは最後に、という発想が染みついている日本人には、なかなか逆の発想はできないのです。生徒に英語の力を付けさせるためには、この(▽)型の発想をいつも意識する習慣を身に付けさせる必要があります。

2 問いかけの重要性

(1) パラグラフ・リーディングをどう指導するか?
生徒にある程度の長さの文章(あるいはスピーチ)を理解させるには、パラグラフの指導が必要です。そして、パラグラフの発想を身に付けさせながら生徒の英語力を伸ばすには、一語一語(あるいは一文一文)を日本語に訳すという活動から脱却しなければなりません。なぜならば、パラグラフ・リーディングは文章全体をパラグラフという大きな単位で捉える読み方だからです。一語一語を日本語に置き換えていくというリーディングが、言わば、「木を見る」読み方だったとすれば、パラグラフ・リーディングは「森を見る」読み方だということになります。
和訳活動を中心に据えた従来の授業から脱し、パラグラフ・リーディングを指導していくには、英語による周到なQUESTIONINGを核にして、できるだけ英語で授業を進めていく指導法が非常に効果的です。それは
 1) 巧みな発問により、思考力が高まっていく
 2) 教室内における英語のinput, outputの量が増え、また生徒が直接英語に触れる時間も長くなることにより、英語力が伸びる

からです。この、和訳中心の授業から英語のクエスチョンを多用した授業への転換は、日本語を用いて生徒に「教え込む」指導から英語を用いて生徒に「考えさせる」指導への移行、という側面をも持っています。
問いかけ、あるいはQUESTIONINGの重要性について、轡田隆史氏は「『考える力』をつける本」の中で―「問い」があってこそ、あらゆるものの意味が現れてくる。「問い」がなければ、「意味」もまたない―と言って、問いかけと思考力が密接に結び付いていることを説き、またAschnerは教師を"professional question-asker"と描写して、教師の役割とQUESTIONINGの密接な関係を示しています。

(2) QUEST10NlNGが成功するために教師が"professional question-asker"であるべきだとしても、現実には、教師の発する「問い」が効果をあげないこともしばしばです。Gallは―教師の発問の80%は生徒に「考えること」を要求していない―と指摘しています。この数字は、教師の「問い」がいかに安易に発せられているかを示しています。逆に言えば、教師の発問が十分に効果を発揮するためには、周到な準備が必要であることを物語っています。

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