サクシード2中学校英語から高等学校英語へ-005/45page

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理解が進み、思考力が伸びるかというのは非常に微妙な問題です。これについてBrownとWraggは―"A set of individual questions may each be sound, but together produce cacophony."(個々の発問は良く思えるかもしれないが、それらがまとまると不協和音を産み出すかもしれない)―と述べて、発問の提示の難しさを指摘しています。発問の順序については、幾つかの学説がありますが、以下に述べることが大きなポイントになると考えられます。
「英語の発想では、重要なことが最初に来る」(P.1)で述べたとおり、パラグラフは、通常、(▽)型の構成となっています。ですから、パラグラフ・リーディングの発問を考えるときには、この(▽)型の発想に基づいて、QUESTIONを準備しなければ、十分な効果は期待できません。つまり、この(▽)型の発想で書かれている英文は、top-down approachと呼ばれる「全体から部分へ」という読み方をされることによって初めて英語らしい読み方が実行されていることになります。
しかし、top-down approachだけで十分な読みが期待できるわけでないことは、実施してみればすぐにわかることです。新しいリーディングの理論(日本ではまだ広く普及していないinteractive modelsなどと呼ばれる理論)では、top-down approachにbottom-up approach(単語などの、部分から始まって全体へ至るという古典的な読み方)も加えるべきであると説かれています。
この理論をパラグラフ・リーディングの発問に採り入れれば、発問の順序は次のようになるのが望ましい1順序の一つだと考えられます。つまりQUESTIONINGは、まずTOPIC SENTENCEのように全体に関わることから始められ、パラグラフ全体の意味を捉えさせ、焦点を絞った後で、読みを深めさせるために、次に、小さな部分(焦点化された部分)から全体へ向かって新しい問いかけを始めるという順序になります。この発問を図式化すれば、下のようなジグザグな形をとることになります。このジグザクのラインは一見、混乱しているように見えるかもしれませんが、単なる思いつきによる発問の順序(random walk)とは、似て非なるものです。BrownとWraggは―"the lessons develop a pattern which may not always take a straight line, but which is certainly not random"―と述べています。

では、パラグラフ・リーディングを具体的にどのように指導したらよいかを中学校・高等学校の教材を使って考えてみましょう。

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