サクシード2中学校英語から高等学校英語へ-014/45page

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第2章 パラグラフ・ライティング:英語の発想による表現を

1 なぜパラグラフ・ライティングなのか?

(1) 発信型能力の育成
外国語のコミュニケーション能力は一般に、外国語を聞いたり、読んだりして内容を理解する能力(receptive skills)と、話したり、書いたりして自分の意思等を伝える能力(productive skills)から成り立っていると言われれています。しかし、従来、我が国の英語教育では、英語の理解、つまり「受信型」の指導に偏る傾向が見られました。実践的なコミュニケーション能力を持った生徒を育てるには、この二つの能力をバランスよく育成する必要があると考えられることから、今後の英語教育では、自分の意思等を英語で伝えることのできる「発信型」の指導も同様に重視する必要があります。

(2) 実践的なライティング活動を
従来のライティング指導では、まず日本語があって、それを特定の表現・文法事項・語彙等を用いて英訳させるといったパターンがよく見られました。しかし、このパターンの指導では、文法事項等は身に付けさせることはできても、実践的なコミュニケーション能力の育成という観点から見れば、少なくとも以下のような欠点があったと考えられます。
 (1) 自分の考えを述べていない(話題・内容がすでに示されている)
 (2) 短い英文(one sentence or two)を書くだけでは、本当のコミュニケーション活動からはかけ離れている
そこで、これらを改善した実践的なライティング活動を考えてみると、以下のことが考慮されるべきだと思われます。
 1) 自分で話題を選ばせ、その話題に対して自分自身の考えを展開させる
 2) 自分の意思を伝えることのできる、ある程度の長さの英文を組み立てるための技術を身に付けさせる


(3) 表現力育成にも「問いかけ」を:常に身近なことから考えさせる
上に述べた1)については、実は、英語という教科に限った課題ではありません。あらゆる表現活動は、そもそも自分自身の中に伝えたり表現したいことがあり、そのことに対してしっかりとした自分自身の考えやイメージを持っていて、初めて成り立つものだからです。こういった表現意欲や表現能力を育成するには、「詰め込み型の指導」ではなく「考えさせる指導」を、あらゆる場面を用いて実行していくことが重要です。そのためには、パラグラフ・リーディングの場合と同様に、ここでも教師による「周到な問いかけ」が効果的です。

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