サクシード2中学校英語から高等学校英語へ-037/45page
マー」がどこにもないことをご存じでしょうか。そこで進学者の多い学校などでは、大学入試に必要な文法事項を身に付けさせるために、文法の副教材を用いた時間を設けている場合もあります。また同様に大学入試で多く問われる読解力を付けるために、「英語1」「英語2」「リーディング」など長文を取り扱う機会が多いのも確かです。これらのことから、質問にあるようなイメージができあがったのかと思われます。
しかし入試のスタイルも変わり、単に訳ができればよいというものではなく、自分自身の考えをしっかり持ったうえで答えなければならないものが多くなっています。旧態依然とした一文一訳形式の授業や従来の文法事項の詰め込み授業では、それらの問題に対応する力を身に付けることはできません。また「英語1」「英語2」ともに総合的な言語活動を行う科目であり、読み一辺倒に偏ったものではありません。この「サクシード2」で紹介しているパラグラフ・リーディングやライティングを始め、従来の指導から脱却する手だては数多く講じられているのです。
質問5) シラバスという言葉をよく聞くのですが、具体的にどのようなものですか。
A.シラバス(syllabus)とは「(講義などの)要旨、摘要、概要;教授細目、時間割」を意味する単語ですが、年間指導計画と思っていただければよいでしょう。教科書の選定を始め、生徒にどのような力をいっどのような方法で身に付けさせるかは、各高校によって生徒の実態や目標が異なりますから、それぞれの学校で計画を立てて実施していかなければなりません。その計画をシラバスと呼んでいるのです。教科書の進度の目安はもちろん、問題集や参考書の活用計画や、課題の内容、語彙力や長文読解力を高める方策などを盛り込むほかに、3年間を見通した指導概要を入学時から計画立案している学校もあります。
中学校では指導が教科書中心になってしまい、年間指導計画も教科書会社から発行されているものに頼っているのが現状ではないかと思います。3年間を見通してどのように英語力を付けていくかという視点は、中学校でも必要ではないでしょうか。
(2) 高校から中学校の先生へ
質問1) 長文読解の指導はどのようにしているのですか。入試に出題される割には、教科書ではあまり長文は取り扱われていないようですが。
A.東京書籍(New Horizon)を例に取ると、読み物教材 Let's Readは1年では2つ、2年では3つ、3年では4つずつあります。この数を多いと取るか少ないと取るかは分かれるところですが、総合的な言語活動を取り扱う教科書としては妥当な数と言えます。問題は、生徒の長文への苦手意識につられて、教師も「読み物教材は扱いづらい」という気持ちになってしまうことではないでしょうか。また教科書の最後に載っている題材が多いために、進度の都合で軽く取り扱われてしまう傾向もあるようです。しかし、高校入試では長い文を読んで答える問題が必ず出題されますし、内容