サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-010/81page

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第2章 思考力・表現力をのばすためのポイント
 発想 自分で考えること

(1)問いかけること
 一自分自身に問いかける一

●自ら問いかける力-問題を発見する眼1
 考えるために必要なことは、自分の中でわき上がる「問い」を大切にすることです。普段私たちは、日常生活で感じる疑問をそのままにしておくことが多いものです。しかし、「人間は自然の中で一番弱い一本の葦にすぎない。しかし、それは考える葦である。」とフランスの哲学者パスカルが述べているように、人間にとって考えることは欠かすことのできない大切なものです。
 国語科の授業においても、「…について考えよう」「…とは、どういうことか」というように、与えられた問いに対しては、反応できても、自分自身で疑問をもったり、自ら問いを発するということば難しいといえます。
 大切なことは、普段考えているちょっとした問い、他の人には価値がないように思われるようなささやかな問いを大事にするとともに、その問いを重ねていくことです。このことについては、次のような作品があります。

ものを考えることはなにか特別のことだと思われがちです。しかし、考えてみると小さな子供たちはいつでも、そして、わたしたちも以前は、よく問いかけていました。あさがおの色、入道雲の盛り上がるようす、繰り返される波の音等、それら全てのものに目を輝かせて見えないものと話しかけていたことを記憶しています。
 自然には不思議に思うことがたくさんあり、分からないことが次々と出てきます。人間は誰でも不思議に思う気持ちを持っているのです。その不思議について考え、そこから豊かなイメージを膨らませていくのが、人間の活動の基本です。それが、詩になり、絵になり、科学になる。
(「科学技術時代の子供たち」中村桂子 岩波書店)

楽しい学習の要素の一つとしてあげられるのは、自らの考えを認めてもらうことです。生徒だけでなく、私たち自身が生徒に深い問いかけをしていくことが大切になります。


「考える葦」

●問いかけることから
 普段から疑問を大切にする授業を心がけたいものです。
 時事的な問題や社会に関する問題についての感想が生徒の心に残り、学びへの情熱をかきたてることもあります。季節や気象に関する内容や、言葉に関する話をさりげなく語ることによって、日常を見る目を育むこともできるのです。
 また、問題解決型学習を試みることによって生徒の知的好奇心を喚起することも大切です。クイズ形式のテレビ番組が人気を博しているのも、疑問をもとにした知識の獲得が学びの基本になっているからでしょう。
 授業を一種の推理に仕立てていく工夫もあります。まず謎があって、それを自分の力をフルに活用して解決していくことが喜びにつながるのです。

授業の窓

●授業の中で考える
 授業において大切なことは、生徒一人一人が深く考え、自分自身や自分を取り巻く様々なものと対話できる場を設けることです。そのためには、深い問いかけが大切です。すでに知っているもの、あるいは○か×かで判断されるものだけで終わってしまう「閉じられ

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