サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-011/81page

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●深い問いかけのために
 「ネコをネコと呼ぶのはなぜなの。」「雨はなぜ降ってくるの。」「虹はなぜ七色なの。」こんな問いかけが、実は考えることの第一歩なのかもしれません。そして、考えること、生きること、この二つは一つのことを言っているのです。目の前の素朴な問いかけを出発点にしていくことが大切です。
 深く考えるためには、考える契機と考える方法、そして考える内容を考慮することが大切です。次に示す視点から考えると深い思考に至ることができます。

一 疑問をもつこと
二 言葉を定義すること
三 相手を想定すること
四 視点を変えること
五 対話をくり返すこと

●問うこと、そして、生きること
 素朴な問いかけを出発点にして、人間としての在り方生き方を考えることも国語の授業では大切なことです。日々の生活の中で、自分の目で見ることや人生の意味を問い直すことにより、深い考えに至ることができるのです。人間が生きる究極の姿を描いた文章として、次のようなものがあります。

 ここで必要なのは生命の意味についての問いの観点変更なのである。すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。そのことをわれわれは学ばねばならず、また絶望している人間に教えなければならないのである。哲学的に誇張して言えば、ここではコペルニクス的転回が問題なのであると云えよう。すなわちわれわれが人生の意味を問うのではなくて、われわれ自身が問われた者として体験されるのである。人生はわれわれに毎日毎時間問いを提出し、われわれはその問いに、詮索や口先ではなくて、正しい行為によって応答しなければならないのである。人生というのは結局、人生の意味の問題に正しく答えること、人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うことに他ならないのである。
(「夜と霧」V・E・フランクルみすず書房)


た問い」ではなく、「答えが見出せるのに何十年もかかるような問い」あるいは、「答えのない問い」「無限の答えが可能な問い」などの「開かれた問い」を大切にしながら、一人一人の生徒のよさを伸ばす問いかけを工夫していくことが求められます。
授業の各段階での問いかけの工夫の例をあげてみましょう。

導入
◆未知なるものへの関心の喚起
展開
◆表現されているものの根底にあるものに思いをはせる
終結
◆本文での言葉の役割を問い返す
次時の予告
◆家庭学習への橋渡しをし、自分で調べたり考えたりする契機とする

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