サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-050/81page

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【第二時間目】

手順 3「抽象から具体への深化」
 一応「論点」らしきものは定まったが、まだ「主題」とはいえない状態です。「テレビと報道」のどんな問題について、どのように論じるのかを具体的に考えて、論を深めることが次の段階です。主題を深めることができない生徒には、次のような「インタビュー」方式も効果的です。

インタビューしよう!
 相手が何について書くつもりなのか、生徒同士で問答させる。相手に質問することで主題を見る目が養われ、自分にとっても主題探しの大きなヒントになる場合がある。
Bさん「どうしてマスコミの中からテレビを選んだの?」
A君「マスコミの中で社会的な影響力が一番強いって思ったからだよ。」
Bさん「どうして影響力が強いといえるの?」
A君「みんなが見てるし、何よりもやっぱり映像は説得力があるしね。」
Bさん「確かに映像はわかりやすいわね。でも、そんなテレビの報道のどこが今、問題になってるのかしら?」
A君「プライバシーの問題とか……?何でも報道すればいいっていうわけじゃないでしょ。」
Bさん「映像って何でも映し出しちゃうところも確かに問題よね。」……

調べよう!
 図書館などでその論点に関する文献を探させて、興味深い話題や問題点などについて調べさせる。広い見識を持つことで、今まで見えなかったものが見えてくる場合も多い。
・新聞の普及率とテレビの視聴率
・アクセス権(言論の自由を確保するために、意見を持つ者がマスメディアになど接近する権利)

比べよう!
 考えついた論点について、同種あるいは対立する概念をぶつけてみる。こうすることで独断と偏見にとらわれず、視野の拡大もはかられる。
・テレビと新聞・諸外国の報道のあり方・知る権利など

抽象から具体へ
●インタビューの方法
 「発想」の章でも述べたように、問いかけをすることは、発想を豊かにする上で大切なものです。
 生徒が自分自身に問いかけるセルフ・インタビュー方式も有効な方法です。
 小論文を書いたり、作文を書く場合にも、問いそのものを言葉にすることによって自分の考えの歩みがわかるという意味で、授業等で実践したい方法の一つです。

◆手順例「感動したこと」
■「これまでで一番感動したことは何かな?」
…そうだ、サッカーの試合で県でベスト8に入った時のことだ。
■「その時、どんな気持ちがしたんだろう?」
…相手が東北でも有数の強豪だったから、負けても当然だったんだ。だから喜びも格別だった。
■「みんな、始まるときの気迫が違っていたな。試合前に言っていた言葉は?」
…負けてもいいから、全力を出して行こうってキャプテンが言ったんだ。
■「勝ったときのシーンで印象的だったのは?」
…普段厳しく指導する顧問のS先生が涙ぐんでいたのにはびっくりしたっけ。(…以下略)

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