サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-001/69page

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第1章 中学校・高等学校数学におけるつまずきをなくすための学習指導

§1 中学校・高等学校における数学の学習とつまずき

1 はじめに

数学は他の教科に比べて系統性が強く,生徒は一度ある単元でつまずくと,その単元や内容に関する興味や関心が薄らいで,徐々に学習意欲を失っていく傾向がある。
この「つまずき」をできるだけ少なくすること,あるいはつまずきを解消することは,数学嫌いや,数学離れを起こさせないために,学習指導においては重要な課題である。

2 数学の学習におけるつまずき
(1)概念や原理の理解におけるつまずきと問題解決におけるつまずき
数学においては,わかることとできることは学習の段階で必ずしも一致しない。概念や原理の理解はできても問題が解けない。あるいはその逆もある。
問題が解けないというつまずきは,指導者の目につきやすいのに対して,概念や原理の理解がなされていないというつまずきは,指導者からは発見されにくい。
つまずきの中でも,発見されずに後で問題となるのは,解法のアルゴリズムのみ習得した生徒の場合である。この場合,学習した時点では覚えた解法によって問題を解くことはできるが,原理を理解していないために,時間がたつと解法を忘れてわからなくなる,あるいは,応用問題など覚えた解法から少しはずれた問題になるとできないというように,後からつまずきが表面化する。定期考査はできるが,実力テストなどになるとできないという生徒には,このタイプがかなり含まれていると考えられる。

(2)数学でつまずきやすい生徒にみられる傾向
つまずきやすい生徒によく見られる傾向として,次のような点が挙げられる。
(1)数学に対して興味や関心が薄い。
ア 数学の持つ考え方のおもしろさやわかる喜びをあまり体験していない。
イ 自分の考え方を認められ,賞賛された経験が少ない。

(2)これまでに学習した基礎・基本が十分に身に付いていない。
ア 小学校で学習する基本的な概念や計算技術で身に付いていないものがある。
イ 特に計算などで,その生徒なりの「誤りの法則性」を持っている。

(3)概念や原則を理解しようとせず,答えのみを求めようとする傾向が強い。
ア 概念や原則の理解が少し困難になってくると,答が求められさえずればよいと,機械的に例題のまねだけをしたり,公式や解き方だけを暗記しようとする。
イ 問題を解く際に,図をかいてみる,数を当てはめてみるなど,試行錯誤しながら見通しをつけ,既習の知識を組み合わせて考えを進めることができない。

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