サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-003/69page

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(3)つまずきをなくすための学習指導上の留意点
(1)つまずきを予想して授業に臨むこと。
つまずきが予想される内容に対しては,学習目標の達成のために何が基礎になっているかを分析し,その定着状況を把握しておくことが大切である。
特に中学1年や高校1年では,かなりの内容が小学校や中学校の学習の延長であることから,小学校や中学校の教科書を参考にして,何をどのような学び方で学習してきたのかを把握した上で,授業の準備に当たる必要がある。

(2)生徒がつまずいたとき,克服しようとする意欲を持たせること。
できるだけ生徒を賞賛してわかる喜びを与えていくよう心がけ,学習した内容の有用性を確信させると同時に,質問しやすい雰囲気を作ることが大切である。

(3)どこでつまずいているのかを察知し,それを生徒自身に気づかせること。
自分の誤りを他の考えと比較させるなどして,つまずきの原因に自分自身で気づかせることが大切である。そのためには,自分の考えを書かせたり,板書した解答の説明をさせたりすることなどを授業に積極的に取り入れていくことが大切である。必要に応じて,誤った考えを示し,矛盾や不合理に気づかせることも考えられる。
なお,つまずきが予想されることを,考えさせずに先回りして結果だけ教えてしまうことは,考える力の伸長を阻害する恐れがあることに留意する必要がある。

(4)概念や原理などを理解させるための発問や教具・教材の工夫をすること。
概念や原理を理解させていくには,授業で,「答は何か?」だけでなく,「それはなぜか?」「なぜ思いついたのか?」ということを問いかけることが大切である。
また,コンピュータ等の教具を適切に利用して,視覚に訴えながら,数学的な概念や原理をより的確に把握させるための工夫をすることが大切である。

(5)学習したことを生徒にまとめさせる工夫をすること。
生徒自身に学習内容を振り返らせ,整理させていくことがその時間の授業内容の定着を図る上で重要である。その際に,教師が結果だけをまとめ,生徒は暗記のみに走るということにならないような配慮が必要である。

(6)小テスト等による形成的な評価を指導にフィードバックすること。
生徒に身に付けさせたい学習内容を厳選して,その内容については,小テスト等で確認をして,結果を指導にフィードバックしていくことが大切である。

(7)練習問題の量と質に留意し,基本的な学習内容の確実な定着を図ること。
用語の定義や基本的な定理や公式とその意味を確実に理解・記憶させるとともに,それらを活用する基本的な問題を,量と質に留意して与えることが大切である。

(8)応用力を伸ばすために必要な考え方を指導に取り入れるよう工夫すること。
応用力を伸ばすためには,暗記した公式だけに頼らず,「その場で自分で考える」姿勢を育てることが大切であり,今学習していることが次の段階でどう発展していくのかを把握した上で,指導に当たることが必要である。

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