サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-014/69page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

第2章 つまずきをなくすための学習指導の工夫

§1 数と式

1 中学校の内容で高等学校において指導上よく問題となる事項(中,高ともに)
サクシードで取り上げた「高等学校で指導上よく問題となる事項」の中から,数と式に関するものについて,高校と中学校との関連をまとめてみた。各つまずきの内容の後にある( )内の中学校の学年は,高校のつまずきがその学年と関わりが深いことを示している。
各項目に関するつまずきの対策については,関連する内容のページを示してある。

(1)等号を日本語の「は」と同様に使ってしまう。(中2)(p28)
中学校でも,2年で方程式を初めて学習する際に,式の変形と同じように,変形している方程式を互いにすべて「=」でつないでしまう。高校でも方程式や不等式を解く際に同じ誤りがみられる。さらに,数Aで式の証明を学習する際には,この混乱は証明の根幹に関わる大きな問題となる。

(2)A=Bを変形する際にB=A(交換),-B=-A(移項)の使い分けができない。(中1)(p28)
中学校では,基本的な内容(常識)として扱われ,「等式の性質」の枠からはずれているため,指導が行き届いていない可能性がある。方程式を解く際に移項をするとき,=Bを-B=-Aとしても,中学校ではあまり複雑な式を扱わないために,このことによる計算間違いは少ないが,高校では,移項する際にこの使い分けができないと,計算ミスがかなり多くなってしまう。

(3)式変形における通分と方程式の分母を払うことの区別がつかない。(中2)(p28)
(例)x2/4+x/2=x2+2x2/4=x2+2xとしてしまう。
中学校で新たに学習する「方程式」では,「分母を払う」という操作で分数の係数を整数に直すことができるので,通分をしなくても済んでしまう。この計算方法が生徒の脳裏に焼きついて,「便利で楽だから」等式の変形においても誤って分母を払ってしまう。

(4)1つの文字について解くことができない。(中2)(p64)
中学校では,1つの文字について解いてから代入法で連立方程式を解くことは,その必要性からあまり学習していないが,高校になると,連立方程式のほかにも,条件式を用いて文字を消去する際に頻繁に用いられる。また,文章題で求めるものをxとおいて,関係式をxについて解くという考えが身についていない。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

Copyright (C) 2000-2001Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。