サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-015/69page

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(5)比の関係式 a/b=d/c⇔ad=bcが自由に使えない。(中1,中2)(p50)
中学校では,⇒の方向への変形だけであるが,高校では,その逆を当然のように使うところに戸惑いをもつようである。中学校では,次の関係を確認しておきたい。
a:b=c:d⇔a/b=c/d⇔ad=bc⇔a/c=b/d⇔a:c=b:d
(注)中学校では,分母が0になる場合の吟味については扱わないので,b■0等は書かない。高等学校であれば,「b■0,c■0,d■0」のことわり書きが必要である。

(6)係数が分数である連立方程式を解くことができない。(中2)(p18)
中学校の教科書では,あまり多くは扱われていない。高校では,係数の分母を払う際の誤りや,分母を払った結果,係数が大きくなったりすることによって,誤答が生じている。また,等式を整理する際に,例えば,4x+6y=4を簡約することはあまり身に付いていない。本冊子では直接取り上げていないが,p18に関連事項がある。

(7)絶対値の意味がよくわからない。(中1)(p26)
絶対値については,中学校では,1年の「正負の数」のところで,数直線上における原点との距離としてその意味が示されている程度のごく簡単な取り扱いである。ところが,高校になると,絶対値の中に文字や式が入っているために,場合分けが生じ,多くの生徒がつまずきを起こす。

(8)平方根の意味を理解していない。(中3)
「4の平方根」と「平方根4」の区別がつかないことや,√4=±2などの誤りがよく見られる。本冊子では特に取り上げていない。

(9)2次式の平方完成ができない。(中3)(p38)
高校数学は「数学1」の2次関数で始まることが多いので,かなりの生徒にとって最初のつまずきのポイントになっている。中学校で2次方程式の解の公式を導く際に,平方根の考えを用いて解くとして取り扱われているが,あまり定着されていない。

(10)共通因数でくくってから約分することができない。(中3)(p18)
中学校までの約分は,「分母と分子を同じ数で割る」ということだけで,分子が和や差の形になっているときに,「共通因数でくくってから約分する」ということはしない。高校になって,複雑な値の分数や分数式の約分を扱うようになると,因数分解してから約分すると言うことの意味がよくわからずにつまずく生徒が見られる。

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