サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-017/69page
(2)割り算の分数表示と逆数を利用した割り算の方法を確認すること(→中1で)
(1)割り算を分数の形で書くこと
「正負の数」の除法を学習する際に,商の分数表示に慣れさせる必要がある。これは,小学校での比の値の分数表示ともつながっている。
(例)8÷12=8/12=2/3(-12)÷(-3)=-12/-3=4
また,文字式の計算では,「除法では,記号÷を使わずに,分数の形で書く」ということを指導するので,正負の数の計算でもこのことを取り上げていくとよい。
(2)逆数を利用した割り算を確認すること(→中学校を通して,高校数Aでも)
割り算の分数表示に関連して,「割ることは,その数の逆数をかけることと同じである」という逆数の指導も行う。これが小学校と中学校のつなぎとして重要な教材であることを十分に認識しておく必要がある。1年「文字と式」,2年「式の計算」,3年「多項式」と,式(多項式)と数(単項式)の乗除を繰り返し指導できる。その際,次のような例を通して,逆数の考え方や分母表記の違いに慣れさせるようにする。
(例)(6a-9b)÷3=(6a-9b)×1/3=6a-9b/3=6a/3-9b/3
この計算は,高校においては,「共通因数でくくってから約分する」という考え方で処理されるので,中・高のつなぎを考える上で重要な基礎となる事項である。中学校3年間をかけて,繰り返して指導し理解させていきたい。
このような分数の考え方は,高校でよく用られる「分子と分母に同じ分数をかける計算」や「繁分数の処理」などの約分と逆の計算方法に発展していく。つまり,分数の性質を自由に駆使して計算や数量関係をより簡単に扱うことが可能となる。
(3)分数計算の練習問題を意図的に取り入れること(→中学校を通して)
教科書で扱う文字式や方程式・不等式の練習問題は,係数が分数であるものが非常に少ない。例えば,1年「正負の数」では,練習問題全体の10%以下であった。
そこで,指導計画の中に意図的に分数計算を含む問題を取り入れ,小学校の分数計算を反復補充しながら,計算に習熟させていくことが必要である。
また,内容的にも,量や割合としての分数から,計算処理を簡単にするための分数というように変わってくる。高等学校での分数計算の活用を考えると,「分母が文字式である計算練習」や,「逆数を用いた計算練習」を取り上げたりするなどの配慮をしておきたい。また,比の値を表す分数の指導も重視したい。
Copyright (C) 2000-2001Fukushima Prefectural Board of
Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。