サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-033/69page

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(3)1次関数と2次関数に関して
・1次関数と2次関数とはどうして大きな違いがあるのか。
・関数とは1次関数と2次関数のことなのか。
・1次関数と2次関数の間に,例えば1.3次関数のようなものはないのか。

3 関数の指導が難しいと思われる原因
これらの生徒の疑問に教師は答えなければならないわけであるが,このことから,関数の指導が難しいことの原因を整理してみた。

(1)関数そのものに関して
1)小学校以来,一つの変量の変化によって他の変量が変化することについて学習しているものの,生徒にとっては抽象的で,実態のつかみにくい概念であること。
2)X→Yの対応関係全体,あるいは「→」が表現する「操作」そのものを「関数」と表現していることが理解できないこと。
3)従来3+2=5は左辺の計算結果が右辺であることを表してきたが,y=f(x)という表現は右辺の計算結果を左辺で表していることへの抵抗があること。

(2)関数とグラフに関して
1)グラフの意味,特に独立変数xと従属変数yを,順序対として(x,y)と表現していることが理解できないのではないか。
2)「直線y=2x」というとき,直線にy=2xという名前が付いていることの意味がわからないのではないか。直線y=2x上の点(x,y)は,関数y=2xのグラフにおいて,x座標を2倍するとy座標となる点であり,その点の集まりが直線になっている,ということがわからないのではないか。
3)グラフの形が直線や放物線になることと,図形としてのそれの混同があるのではないか。「関数」と「方程式」と「図形」の概念が整理されていないのではないか。同じグラフでも,「関数y=f(x)」「方程式f(x,y)=0」「曲線(直線)f=f(x)」では,意味と扱いが違うことが理解されていないのではないか。
4)1次関数のグラフが直線になり,2次関数のグラフが放物線になることがどのような意味を持つのかが,具体性を持って理解されていないのではないか。
5)実数まで数の概念が拡張されていない段階で,関数のグラフを考えさせていることが理解の妨げになっているのではないか。
6)「関数」が今後の学習にどのように発展していくのかの展望を与えていないのではないか。また,「2次」の重要性を理解させていないのではないか。

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