サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-043/69page
2 つまずきの分析
(1)場合分けとは何なのかがわからない。
中学校では,文字定数は,因数分解や2次方程式の解の公式の場合にxの係数としてしか現れず,文字の値による場合分けは学習していない。
(2)なぜ軸の値で場合分けしなければならないのかわからない。
a>0であるから,頂点であるx=aのとき最小であると考えてしまう。
(3)どのように場合分けすればよいのかがわからない。
閉区間で,2次関数が最小値(最大値)を取るのは,区間の左端か右端か頂点のところのいずれかであるということがよく理解されていない。
3 つまずきへの対策(→文字定数を含む最大最小の問題をグラフで考える際に)
(1)文字定数の値が変化することを理解させる。
問題に取りかかる時点で,aに具体的な値をいくつか入れさせ,その場合のグラフをかかせて,最小値を求めさせてみる。この場合,a=1,a=3,a=5などを代入させて,aの値が変化すると最小値を取る位置と値が変化することを体験させる。
(2)場合分けの必然性を理解させる。
「軸の値で場合分けする」という「やり方」が強調される場合が多いが,「なぜ軸の位置で分けなければならないのか」をはっきり示すことが大切である。
すなわち,「軸の位置によって,左端か右端か頂点と最小になる位置が変わり,それに伴って最小(大)値も変わるので,場合分けせざるを得ないのだ。」ということを理解させることである。
問題を解き終えた後で,(1)で試みた3つの場合のaの値を代入して,たしかに当てはまっていることを実感させることも大切である。
また,aの値によって最小値がどのように変わるのかを,aと最小値の関係のグラフ(生徒にはaが変数という用語は使わずに)で示すことも考えられる。
(3)aの値によって,最小(大)値が変化していく様子を視覚的にとらえる工夫をする。
1)OHPやコンピュータグラフィックスを利用する。
OHPの場合,aの値によってグラフが平行移動していく様子を,TPシートを重ねていくことによって示す。コンピュータの場合,市販ソフトの活用も考えられる。
2)教具を自作する。
例えば,磁石で移動可能にした放物線を作成し,黒板上でx軸方向に平行移動させて,aの値により最小値を取る位置が,右端→頂点→左端と変わっていく様子を示す。
(4)段階を踏んで類題を演習させる。
「関数y=x2-2x+2の最大値・最小値を求めよ。」という問題なら区間を0≦x≦a→a≦x≦a+1として,最大値,最小値の順に段階を踏んで考えさせる。
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