サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-047/69page

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§3 図形・証明

1 鈍角の三角比の導入と定義(数1「三角比」)

関連:前 図形の相似(中2),三平方の定理(中3)後 三角関数(数2),微分・積分(数3)

1 つまずきの内容
鋭角の三角比から鈍角の三角比へと角の範囲を拡張して三角比を定義するが,鋭角の場合に増して,鈍角の三角比の定義がなかなか定着しない。

2 つまずきの分析
(1)鈍角の三角比の定義が理解できない原因
1)「定義」と「定理」の区別がついていない
三角比の「定義」を「定理」と混同し,定義がどのようにしてでてきたのかと感じ素直に受け入れられない。中学校では,次のように定義と定理を学習している。
定義:用語や記号などのことばの意味をはっきりと述べたもの
定理:すでに証明されたことがらのうちで重要と考えられるもの


2)鋭角の三角比の定義をよく理解していない。
ア 相似の理解が十分でない。
相似な三角形について,大きさは変化しても形は不変であるという感覚は身に付けているが,辺の長さが同じ割合(比)で変化することに習熟していない。
生徒によっては,長さと比を区別できないことがある。
イ 定義の必然性を理解していない。
三角形の辺と角を同時に計量するために三角比を定義すること,直角三角形における2辺の比は3通りあるので,sin,cos,tanの3通りの定義がされていることが理解されていない。
ウ 関数記号への抵抗感がある
数学1の2次関数において,f(x)という記号を学習しているものの十分には慣れておらず,例えば,sinθをなかなかsin,(x)のようにとらえることができない。
さらに,角度に数値が対応する関数を学習するのは初めてである。

3)鋭角の三角比の定義で用いた直角三角形から離れることができない。
鋭角で定義したsinA=y/γでは,γは斜辺の長さ,yは対辺の長さであったが,鈍角では「三角形の辺の比」という本来の定義から離れて,rを半径,yをy座標と読み替え,y/rをsinθの定義とするという数学特有の「定義の拡張」が行われる。
(定義づけた本来の意味は失われ形式が残る。数学的にwell-defined)

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