サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-050/69page

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2 相似と計量に関連した比の内容(中3「相似と計量」)
関連:前 単位量当たり(小5),比と比の値,拡大図・縮図(小6),相似な図形(中2)後 三角比(数1)

1 つまずきの内容
中学3年の「相似と計量」において,生徒たちが比の扱いに十分になれていないためか,次のようなつまずきが見られる。
比・比の値の意味の理解・定着が不十分であり,比を用いた説明や証明がうまくできない。また,少し複雑な図形になると適切な対応で考えることができない。

2 つまずきの分析
(1)「単位量当たり」という考えが定着していない。
小学5年で「単位量当たり」の考えを学習するが,小学校での定着率が低い内容のうちの1つである。この概念が定着していないために,相似な図形という具体的な場面で比や比の値を問題に適用できないと考えられる。

(2)小学校の比とのつながりを押さえた指導が必ずしも十分にはなされていない。
小学6年では,比と比の意味を学習した後に,条件を満たす数値を求める際に,「何倍」,「何分の何倍」,「何で割る」ことを繰り返し指導されている。しかし,中学校では小学校で学習してきているはずであると考えて,より広く使える方法として,すぐに「内項の積と外項の積は等しい」方式で指導されがちである。

(3)「内項の積と外項の積は等しい」という性質を意味を理解せずに用いている。
比本来の概念である,「aがbの何倍であるかというaとbの関係」や,基本性質となる「a:b=ka:kb,、a:b=a/k:b/kを十分に意識しないまま,生徒は形式的に「a:b=c:dならばad=bc」を用いがちである。

3 つまずきへの対策
中学2年の相似な図形で,中学3年の相似と計量の内容を見越して,小学6年の比と比の値の内容と関連づけた指導をすること

(1)小学校で学習した比の概念・性質をよく確認させること
「単位量当たり」「何倍」「何分の何倍」の考えかたをよく確認させた上で,この考え方では面倒になる事例へと発展させ,いつでも等式の性質や1次方程式の考え方を適用し,比を扱うことができるようにする。そしてさらにより広く使える方法として,中学校で新たに学習する内容の理解を深めさせていくことが大切である。

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