サクシード2中学校数学から高等学校数学へ-056/69page

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§4 証明・文章題

1 証明の意味と進め方(数と式)
関連:前文字と式(中1),図形に関する証明(中2),等式・不等式の性質(中1,2)



1 つまずきの内容
(1)「証明」とはいったい何かわからない。
「証明」ということ自体が抽象的な概念であるため,生徒にとっては何をすれば証明をしたことになるのかがわからない。また,形式的に証明ができたとしても,証明の過程で行った式操作の持っている意味がわからない。

(2)等式,不等式の場合の証明の手順や書き方がわからない。
1)仮定と結論を混同して証明の過程で結論を用いてしまう。
何を証明しているか意味不明であることが多い。
(例)等式の証明の場合に,両辺を一緒に変形してしまう。
(a2+b2)2=a2+b(2a+b)∴a2+2ab+b2=a2+2ab+b2

2)証明の方針は立っても,証明をどう表現してよいかわからない。

(3)条件や公式をどこで,どのように利用すればよいかわからない。
1)等式の証明⇒与えられた条件式をどう用いればよいかわからない。
2)不等式の証明⇒a2≧0や相加相乗平均などをどう利用してよいかわからない。
3)数学的帰納法⇒n=kのときに成り立つことをn=k+1の場合に利用できない。

2 つまずきの分析
(1)高校の「式の証明」と中学校の「図形の証明」との違いにとまどっている。
中学校では,証明といえば,三角形の合同や,相似など定性的な図形に関する証明問題が多い。(H10,H11のような定量的な証明問題は正答率が低い。)
それに対して,高校の数学A「数と式」の証明は,条件式を使って文字を消去するなどの多様な代数的な手法が必要となるため,生徒はとまどいを感じて,つまずく。

(2)何を利用して何をすれば証明したことになるのか,証明のしくみが理解できていない。
「仮定」と「結論」の意味と把握,式の同値変形,恒等式と方程式の意味とその違いなどを含め,証明のしくみやそれに関わる事項が理解できていないので,証明の糸口がつかめず,筋道を立てて的確に表現しながら論を進めることができない。

(3)式の証明に必要な基本的な事項や利用のしかたが身に付いていない。
証明に必要な,代入,式変形の手法や条件式の利用のしかた,基本的な等式・不等式の性質や利用のしかたなどが十分には身に付いていない。例えば,a2≧0や相加相乗平均の関係は,いつ,どのように用いればよいのか理解していない。

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