3 つまずきへの対策
(1)証明の意味を理解させる。(→中,高とも)
証明とは
「仮定」から出発して,基本的なことがらや,すでに正しいと認められたことがらなどを利用して,筋道を立てて「結論」を導き出すこと。
証明になっていない例を挙げて,どこが間違っているのかを考えさせてみる。(例)証明の過程で結論を用いてしまう例,循環論法など
(2)何を証明するのかを証明の必要性を含めて把握させる。(→中,高とも)
1)証明の必要性を理解させる。本当に成り立つのか?と考えさせる指導を行う。
ア 成り立つかどうかわからないから証明が必要であることを認識させる。
例えば,等式の証明であれば,「ほんとうに「=」かどうか」を考えさせる。
イ 証明すべきことがらが実際に成立するかどうか調べてみる。
例えば,具体的な数値を代入するなどの実験をする。この実験が証明の糸口(必要条件の発見)になることもある。
2)何が「仮定」で何が「結論」なのか,正しく把握させる
ア 仮定は「成り立つとすること」,結論は「これから示すこと」と明確にさせる。
イ 中学校の方法をまねて,「仮定⇒結論」の形で整理して書き出させてみる。
(3)等式や不等式に関する基本的な性質を整理して,証明に使える形で身に付けさせる。
1)証明に関する等式や不等式の基本的な性質を理解させる。(→中,高とも)
【証明によく用いる等式の性質】
(1)A=B⇔A-B=0→左辺=右辺は「両辺の差が0」を示す。
(2)A=B⇔A±C=B±C,A=B⇔AC=BC(CO)【証明によく用いる不等式の性質】
(1)A>B⇔A-B>0→大小判定は,差を取り符号で判定
(2)A>B⇔A±C>B±C,A>B⇔AC>BC(C>O)
(3)a≧0,( )2≧0→( )2+( )2≧Oの形でも利用
(4)a>0,b>0のときa>b⇔a2>b2→両辺正なら2乗して比較可
(5)|a|≧a →「=」はa≧0,「>」はa<0のとき2)条件式を使うことの意味と使い方を理解させる。(→高校全般で)
【条件式を証明すべき等式に用いる意味】
(1)条件式も証明すべき式も方程式(特別な値に対して成立)である。
(2)条件式を用いて,証明すべき等式が恒等式だと示せば証明は終わる。