中・高連携のために-016/136page
数学の場合
◆公式の有用性をしっかり理解させる。
生徒たちから、「公式を忘れてしまった。」とか「公式が覚えられないで困る。」という声を聞くことがあります。確かに数学はある程度の公式を覚えていなければ、問題を解くのに時間がかかったり、大変な労力を要し、結局、解答にたどり着けない場合があります。本来、数学という教科の性質上、公式だけに頼ることはあまり好ましいことではありませんが、生徒のつまずきを解消するための対策として公式を活用させることが考えられます。
公式の指導に当たっては、次の2つの面からのアプローチが考えられます。
1)公式の必要性を数値計算等を通して体験的に理解させるとともに、公式を印象づける効果的な提示等の工夫をする。
2)公式の持つ意味やその一般性の持つよさをよく理解させた上で定着を図る。
ある新しい公式を学習する際、証明→公式の提示→例題→類題という流れが一般的ですが、公式の証明の前の段階で、時間がかかっても公式を使わないで既知の知識だけで問題を解くという作業をぜひ行うべきです。この作業を通して・生徒は「もっと楽な方法はないかな」という感想を持ち、その後に提示する公式の持つ有用性を実感できるとともに、公式が印象に残ることになります。また、この過程の多くは数値計算を通して公式を導く過程をたどっていることにも注意すべきです。なお、中には覚えるより、その場で簡単に作り出せる公式もあるので、教師側でその都度指導していくことも大切です。
数多くある定理や公式の一つ一つを、いかに印象深く生徒たちに提示し、本質的な意味を理解させ、活用させるかが、数学の教員の技量であり、そのための中・高の先生方の意見交流は意義深いものです。
◆グラフの有用性を理解させる
数学が嫌いという生徒の場合、計算とグラフを全く別なものとしてとらえていることがよくあります。
このような生徒に対しては、例えば、2次関数の最大・最小の場合、導入の段階で次のような発問をしてはどうでしょうか。
「A君とB君の身長はどちらが高いか調べたい。どうずればいいか。」
ある生徒は実際に身長計で身長を計る、と言うかもしれないし、ある生徒は2人を並ばせてみる、と言うかもしれません。どちらが楽かを考えさせると、当然2人を並ばせた方がよい。つまり、この2人を並ばせて、目で見てどちらが高いか、低いかを調べた方が分かりやすいわけです。視覚化するというこの方法がグラフを用いることの有用性であることを話すと、最大・最小問題は必ずグラフを書いて考えるという思考が自然と生徒に生まれてきます。
2次方程式や2次不等式の学習の際に、このように具体的な事例を通してグラフの有用性を示し、その意味を生徒に伝えていくと、グラフの意味や利用することの楽しさが分かることになります。
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