中・高連携のために-032/136page
・第3段落から、きよが感じていた「そこはかとない執着」とは何かをとらえる。
・第4段落を読んで、三十年を経た下駄ときよについて把握し、主題をまとめる。
5 本時のねらい
(1)「きよ」と下駄屋の青年のイメージをふくらませ、その人となりを考えさせ、二人の間にあった微妙な感情についてまとめさせる。
(2)「きよ」が下駄に感じていた「そこはかとない執着」とは何かをまとめさせる。
1)「くせのある木」「青年」「きよ」の不幸せな環境について理解することができる。
2)「そこはかとない執着」を感じていた「きよ」の心境をまとめることができる。
6 指導の構成
小説を読む場合には、印象を大切にして情緒的に読み取っていくダイナミックな総合的な読み方と、文章中の語句に着目し、その語句の文脈中での意味を考えていく分析的な読み方とが考えられる。前者は、小説への興味・関心の喚起には不可欠であり、小説を読もうとする原動力になる大切な読み方である。
また、後者は、より深く作品を読み味わう上で必要な読み方であり、作者の意図をとらえるために有効である。
「濃紺」の指導にあたっては、回想の部分を中心に扱い、第2時間目で前者の方法を、そして、第3時間目で後者の方法を用いることにより、多面的に作品を読み進め、微妙に揺れ動く人物の心理を追っていく。
本時(第2校時・第3校時)で扱う「きよ」の回想部分は、現在の「きよ」の姿と比較してとらえると、そこに30年という長い年月を経た精神的な成長の姿をとらえることができる。しかし、本時では、あえて過去と現在を対比的にはとらえずに、当時、下駄屋の「青年」が感じていた淡い思いと、その思いとともに「下駄」を受け取った「きよ」の心情を中心に据え、三者が共通してもつ「ふしあわせ」を背景として、それぞれの思いを生徒各自が実感できるよう指導していきたいと考えている。
第2時間目では、「きよ」と「青年」を中心に、その人となりを表現に即してとらえさせるが、このとき、グループ活動を取り入れ、より多くの生徒の意見を取り上げ、一人一人の意見の良さをクラスの生徒にともに考えさせていきたい。それぞれの人物像をまとめる活動を通して、この二人の間にあった微妙な感情の触れ合いとそのずれを明らかにしていきたい。また、その際、次時の学習課題にもつながる「ふしあわせな環境」という言葉と「そこはかとない執着」という言葉に注意を喚起していきたいと考えている。
第3時間目では、第2時間目で確認した「ふしあわせな環境」という言葉と「そこはかとない執着」という言葉を受けて授業を展開していく。このうち、「そこはかとない執着」に着目させ、それを三者(きよ・青年・下駄(木))の立場から読み取ることで、「きよ」が感じていた「執着」について考えをまとめていく活動を計画している。この活動では、コース別のグループ活動を取り入れ、課題を三つに分けて話し合いをさせていきたいと考えている。このとき、学習の手順を示した学習プリントを活用していきたい。
また、高校一年生を対象として行う今回の授業研究では、中・高の連携を念頭におき、既習事項を活用して、指導に当たっていきたいと考えている。
7 資料
(1)第2時間目国語辞書、用紙、マジック
(2)第3時間目国語辞典、学習プリント、カード
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