中・高連携のために-074/136page

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現代文の分野に関しては、中学校の教科書では書き下ろし教材が多く用いられますが、高校の教科書では社会人向けの文章からの抜粋が多く、かなり高レベルの教材が取り上げられています。したがって、抽象性の高い文章を読み、自分の考えを表現していくためには、具体的な内容を理解させる工夫が必要になります。
現代文の学習における生徒のつまずきに対する対策として、中学校では、「事実と意見との区別」、「論の展開の把握」等を確実に理解させるとともに、各段落で話題の中心となっている言葉に着目し、論の展開を図示したり・見出しをつけて内容の視覚化を図ることが大切です。
一方、高校では、用いられている言葉一つ一つの理解を深めるとともに、接続詞に着目して論の展開を自分自身で予想しながら読み解くことが大切になります。また、キーワード、キーセンテンスを的確に把握し、言葉や文章全体を支える対比的な思考方法などに習熟させることが大切です。

◆古典指導における中・高の連携―古典に親しませること―

中学校における古典指導は、生徒に古典の世界に触れさせ、古典に親しむことを中心にしています。一方、高校においては、古典作品そのものの理解を学習することにより古典を読む能力を養うとともに、ものの見方、感じ方、考え方を広くし、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てることが求められています。したがって、教材においても中学校に比較して内容が高度になります。
古典指導の中・高の連携において課題になるのは、古典文法の指導方法です。高校により異なりますが、大学等への進学希望者の多い学校では、高校1年の5月から夏休みにかけて、用言や助動詞を中心に文法事項を体系的に指導する場合が多いのが現状ですが、歴史的仮名遣いの理解や音読や朗読を多用することにより、中学校の既習内容との接続を図るとともに、内容の理解を深めさせるために教材のよさを引き出すことが大切になります。
また、中学校の古典では、古典に親しむことに主眼が置かれますので、高校で、一つ一つの言葉に注目し、文法的な面からも理解を進めていくためには、文法用語についての指導をきめ細かく行い、中学校で学習した口語文法を確認しながら進めていくことが肝要です。文語文法については中学校では詳細にわたって学習することはありませんので、高校で学習する場合には、品詞の概念の基礎を確認することが大切です。

国語における中・高の連携について
●既習事項を明らかにして、教材間のつながりを生徒に示していく
●文語文法の指導に際して、中学校で学習する口語文法とのつながりを明らかにする
●中学校における説明的文章の理解をもとに、高校における評論文読解につなげる

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