中・高連携のために-075/136page

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数学

◆中・高における指導方法や学習形態の違いの認識をする

中・高の指導方法や学習形態を見ると、中学校では、定着させるべき内容に応じて、一斉指導やグループ学習を用いた指導などの工夫がよく行われています。また、理解が十分でない生徒と、より発展的な学習を望む生徒に配慮するために、学習進度別・課題別プリント等を準備することも中学校ではしばしば見られます。
これに対して、高校では、中学校に比べて学習進度がはやいことが多く、より系統的で講義式の授業になってきます。
中・高ともにこの指導方法や学習形態の違いの特徴を認識することがまず必要であり、その上で、この指導しかないというような固定化した考えではなく・同じ中学校や高校でも1年生と3年生では理解力や演習能力が同じではないことを踏まえ、生徒の発達段階・実態や身に付けさせるべき内容により指導方法や学習形態を工夫する必要があるといえます。

◆学習内容の系統性において高校1年生に見られるつまずきの例

生徒は、中学校で学んだ「2次方程式」「2次関数」「不等式」などを総合した形で、高校1年で「2次関数」を学習します。中学校では、独立した単元で学習したものを、高校になって、「原点を通らない2次関数のグラフとその解」や「場合分けによる解の持ち方」など同じ単元で学習するときに、これまでの学習内容が互いにどのように関わるかが分からない場合が多いのです。この例のようなつまずきは、特に高校1年の学習の内容に多く見られます。

◆中・高間の学習内容のつながりを意識した指導を

このつまずきを少しでもなくすためには、中学校では学習内容が高校のどこにつながるのかという系統的な見通しを持った指導を心がけ、高校では、生徒が中学校で学んだ内容まで深めながら、何をどのように学習してきたのかを十分に把握した上で、どのようにすれば内容理解をさせることができるかを考えて指導に当たることが必要です。特に、高校1年の早い段階では、中学校の復習も交え、ある程度時間をかけて説明することが必要です。
例えば、中学校では平方完成を用いて2次方程式を解く方法について十分練習させることにより、高校の2次関数の標準形への変形につなげるなど、先に読んでおく等の工夫をしたいところです。あるいは、中学3年の課題学習などの時間に「原点を通らない2次関数」について考えさせるなど、高校での学習のイメージを具体的に与え、発展を意識させながら学習意欲を高めることも一つの工夫です。
また、高校では、例えばコンピュータを活用し、必要に応じて生徒に操作させることにより具体的なイメージを与えるなど、抽象化が進む学習内容をできるだけ具体化して生徒に指導する工夫が効果的です。あるいは、必要に応じて中学の学習内容の定着度の確認をすることも、高校1年の段階では生徒の実態を把握し、生徒に分かりやすい指導を行う意味で効果的です。

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