児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -033/157page
また、関連させて指導する場合においては、領域の指導事項の特質の吟味が前提であり、「重点とした指導事項が効果的に習得できるようにすること。」が必要である。安易な関連ではないということを確認して指導する必要がある。
(3) 言語活動例を中核に据えた学習指導
1.言語活動例の理解と具体化
各領域に言語活動例が設定されている。例えば小学校5・6学年では、「B書くこと」の言語活動例に「礼状や依頼状などの手紙を書くこと。」とある。また、中学校2・3学年「A話すこと・聞くこと」の中に「対話や討論などを行うこと。」とある。
これらの言語活動例は、それぞれの領域において、児童生徒に具体的な言語運用カが身に付いた姿として示してある 。したがって、 言語活動例を具体化し授業に活用していくことは 、一人一人の児童生徒が、学年段階に応じて自らの言語生活に問題意識をもち、その解決に向けて積極的に学習を展開していくという 児童生徒の主体的な授業を創造していくことになる 。
このように、示された言語活動例に対する十分な理解の下、2学年のまとまりの内容を各学校や児童生徒の実態に即して具体化を図って指導していくことが求められる。特に 音声言語の指導については 、児童生徒の生活の中から題材を求めて教材化するなどの 教材開発を進めていくこと も必要である。2.言語活動例の位置付け
各領域に示されている言語活動例を具体化し、教科書教材配列との兼ね合いから、各領域ごと各単元ごとに具体化した 言語活動例を年間指導計画に位置付けていく ことが求められる。また、言語活動例を核として、どの教材で各領域の指導内容を重点化し系統的、発展的に指導していくのかを明確にしていくことが大切である。
本実践では、年間指導計画の中に「A話すこと・聞くこと」の言語活動例を位置付けるとともに、それらの言語活動例を具体化する単元を学期ごとに適切に設定して取り組んだ。その中で、「(イ)対話や討論などを行うこと。」を自校の生徒の実態に応じて具体化した内容を示すとともに、生徒の興味や関心に応じて身近な話題を取り上げて教材化するなど、音声言語指導の教材開発にも努めている。 3.言語意識の育成
言語活動例を具体化し児童生徒の主体的な言語活動を推進するに当たっては、伝え合う力を育成するためにも 「相手意識、目的意識、場面や状況意識、表現や理解の方法意識、評価意識」の5つの言語意識 を育てていかなければならない。
例えば、中学校の「B書くこと」の領域に示されている「(ア)説明や記録などの文章を書くこと。」という言語活動例は、事実や事柄を客観的に書くための言語活動である。説明の文章を書く活動に当たっては、友達に説明するのか、先牛に説明するのか、下級生に説明するのかなど「誰に向けて書くのか」という具体的な <相手意識> 、「何のために書くのか」という <目的意識 > 、どのような場面で説明するのかなどの <場面や状況意識> 、自分の書いた内容を説明するための <方法意識> 、そして説明したことが相手にどのように伝わったかという <評価意識> など、児童生徒自身の具体的な言語意識に基づいて主体的に言語活動をしていくように指導していくことが大切になる。
本実践では、これらの言語意識を単元の各段階に位置付け、言語意識を育てながら「A話すこと・聞くこと」の言語能力の向上を図るように試みた。