児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -039/157page
(5) 第5時
<方法意識>
<相手意識>
VTRの視聴による対話1
相手の発言と関わらない対話と関わり合う
対話のVTRを視聴させ、方法や相手を意識させる◎ ここでは、前時までの学習内容を振り返り、自分が立てた対話に対する目標を確認させた。これは、自分自身の課題を振り返ることにより、本時の活動(対話)に対する意欲を高めさせるためである。
次に、対話の相手への意識を持たせるために、相手の発言と関わらない対話、さらに、関わり合う対話のVTRを視聴させた。漠然とした対話の相手を具体化させることで、より<相手意識>を高めさせるためである。また、相手の発言の一部を自分の発言に取り入れることが大切であることを意識して対話に取り組めるようにさせるためでもある。VTRの視聴後、関わらない対話の問題点について発表させた。
相手と関わり合う対話のために、どのような方法があるのか等、生徒はとても真剣に取り組み、1つ1つの発言に共感した様子であった。その後、課題を確認し、ペアごとの対話に入った。その際、対話の様子をVTRに録画した。
[ A君とBさんの対話の一部 ]
A 君: 校長先生は、「言葉には力がある」って言ってたよ。
Bさん: 「言葉に力がある」って言うのは、わかる気がする。だって言葉によってうれ
しくなったり、逆に傷ついたりすることってよくあるよね。
A 君: 本当だね。すごくむかついたりすることあるよ。
Bさん: 特にあんまりよくわかんない人だと、話し方とかで嫌な感じって初めの印象を
持つよね。
A 君: 初めの印象って言えば、表情とかも、大きいと思うな。優しそうな人とか恐そ
うな人とか。
Bさん: それってあると思う。その人の人柄が表れるからかな。
A 君: そうだね。なんかこんな話をしていると、ふだん自分がどんな風に話してるの
か心配になってくる。
Bさん: うん。話している時って意外と無意識だから、結構相手のこと傷つけちゃった
りしているかもしれない。
A 君: 「言葉の暴力」って言うぐらいだから、気をつけた方がいいよね。
Bさん: そうだね。人を励ましたり、楽しませたり、いい方向で言葉を使っていきたい
な。◎ 次に、対話の様子を振り返るために、ビデオに録画したものを視聴した。生徒は、自分が対話している様子を客観的に見た機会が少ないため、いろいろな反応を示した。「相手をしっかり見て話している。」「話がとぎれないで続いている。」「話の内容が関わり合っていていい。」「もう少し声を大きくするといい。」など普段自分では気付けない面を発見することで、対話に対する考えを深めていた。さらに、ペア同士による相互評価を行った。次に示すのは相互評価の例である。
[ 相互評価C男からD子 ]
前回より声の大きさも、速さがちょうどよかったので、聞きやすく、とてもよかった。内容もわかりやすかった。これからもがんばって。 (C男より) [ 相互評価D子からC男 ]
前回は、棒読みだったけど、今回は読むだけではなく、しっかり話せていた。次はもう少し大きな声でね。 (D子より) ◎ このように、自由記述の相互評価の中でも、自分の言葉で称賛したり、これからの課題を教え合ったりするなどの変容が見られた。さらにより深めるために、今回の反省を生かして、ペアを代えてもう一度対話を行った。二度の対話を通して、新たな課題を明確にするために「話すこと」「聞くこと」それぞれのよくできたところとうまくいかなかったところを発表させた。その