児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -071/157page

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3 実践の考察

 この授業の実践にあたり、常に心がけていたことは、授業を通して、生徒一人一人が、野外観察一つ直接的な体験、観察から「学校まわりの植物のなかま分けができた。」という確かな実感が持てるようにしたいということであった。


共通課題の図式化から自分で課題を設定し、
問題解決的学習を進める。

 生徒全員で、植物の分類を図式化して整理したことは、基礎的事項を確認することになり、生徒一人一人がこれから自分の課題を取り組む上で役に立った。
 また、自分の興味関心が明確になり、なかま分けできる視点とを絡み合わせて各自が課題設定したことは、最後まで主体的に課題解決に取り組むことになった。


既習内容をもとに、一人一人が
方法・準備物などの計画を立て、
主体的な学習を追める。

 自分で課題解決のための手だてを考えたが、これは今までの学習の経験を生かして計画が立てられる。一人一人の活動内容が明確になり、またその解決が学級全体の共通課題につながることもはっきりしたので、責任をもって取り組むことができた。


野外観察の直接的な体験・観察により、
情報収集する。
 (75分の授業)

 学校周辺の植物を、なかま分けという視点で観察することは、より深くものを見るということにつながる。また一人一人の学習状況に応じて教師の支援を心がけてきた。特に、興味関心を重視し、じっくり取り組めるよう配慮してきたので熱心に取り組む姿が見られた。時間的にも十分確保したので集中して観察ができた。


生徒一人一人の課題の結果が、
本時の課題解決につながって、
共に学ぶ喜びを感じる。

 生徒各自が、植物名とその花や葉、茎、根などを調べた結果を発表し、黒板を使って一人一人の結果を生かすようにしたので、完成したときは全員で充実感を得ていた。
 このことから、観察で不十分な部分やより発展的な内容を調べてみたいという生徒の要望が自然とでてきたので、コンピュータの活用を図った。


再度結果を確認したり疑間点を調べたり、
深く自然を調べる活動を、コンピュータを
活用して行う。

 自分の直接経験をコンピュータで確認したり、同類の植物のなかまを調査したり、各自の興味関心にもとづく内容で調べた。その結果、個々の能力に応じた知識の整理ができたことと、植物検索についての方法を知ることもできた。


 この実践においては、問題解決的な学習を進めていくうえで、生徒一人一人が課題意識を明確に持つ必要がある。全体で単に観察、実験をして情報収集するだけでは、意識化がはかられず、新学習指導要領の目標に加わった「目的意識をもって」の部分が弱くなる傾向がある。いかに一人一人が目的意識を持つかの工夫を図った実践事例であり、その学習過程に、野外観察の直接経験の導入や、主体的な学習を進める工夫(一人一人の計画、75分授業の導入)、互いに発表しあってその成果を認めあい、最後に全体の課題である「植物のなかまわけ」が解決できる構想である。そのことによって生徒一人一人が、確実に学習内容を実感して、定着する実践である。


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