児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -083/157page
目指す児童の姿 教師の働きかけや工夫 5.自分の学習活動に自信や成就感をもっている姿
○前題材や前時の学習、次に続く学習のつながりから、本時の学習活動の位置づけをとらえ、学習のつながりを意識させる工夫をする。
(2) 主体的な学習を支える教材の選定や開発
音楽科における主体的な学習とは、児童が様々な音楽や楽器に積極的に働きかけ、自分自身の感じ方や考え方を生かしながら音楽表現を楽しんだり、音楽を聴いてそのよさや美しさを深く感じとったりするような学習である。そのためには、児童が音楽と創造的なかかわりを深めていくことができるような教材を選定するとともに、その活用の仕方を工夫していく必要がある。ここでは児童が教材とのかかわっていく過程とそのための教材選定や開発の視点を対比させて考えてみたい。
児童が教材とかかわっていく過程 教材選定や開発及び指導の視点 1.音や音楽などに積極的に働き掛け関心をもつ。 ○ 無理なく声を出すことのできる音域、親しみやすい歌詞、心に残る歌詞、安定した和声に支えられた旋律や伴奏など、児童の発達的特徴や楽曲の音楽性に配慮する。 2.直接体験を通して自らの課題や問題をとらえ、学習のねらいを明らかにもつ。 ○ 歌詞の内容にふさわしい表現の工夫を考えたり楽器の特徴を生かしたよい響きを作り出したり、強弱や速度の工夫、楽器の組み合わせなど、教材を通して具体的な観点を設定する。 3.課題や問題の解決に向けて自分なりの創意工夫をする。 ○ 表現や鑑賞の意図や目的を明確にさせるとともに、練習方法を工夫して取り組ませたり参考となる表現を比較させる資料の提示などを工夫する。 4.互いの感じ方や考え方を生かして、表現をつくり上げる。 ○ 自分の感じたことや考えたことを伝え合う場を設定し、いろいろな表現や鑑賞の仕方があることを互いの演奏の鑑賞を通して指導する。 5.つくり上げた音や音楽を共に楽しみ、学習活動の経験を次の学習に生かすことができるようにする。 ○ それぞれの表現意図を踏まえ、お互いの演奏を聴く観点を明確にするとともに、自分の課題が解決された過程を振り返らせ、具体的な学習方法として定着させる。 これまで、音楽科の学習において特に大切にしなければならない視点を取り上げて述べてきた。これらのことを踏まえて日々の授業を組織していくには、各学校の実態に応じた年間指導計画及び題材の指導計画を充実させることが不可欠である。
教材があるから授業を行うのではなく、児童にどのような心晴や感性を育て、能力を培うのかについて教師自身が明確な構想をもち、それを具現するための教材の組み合わせや順序等について、計画−実施−評価のサイクルを大切にしながら日々の授業をていねいに行っていくことが必要である。
このような授業によってこそ児童が様々な表現及び鑑賞の活動を通して音楽の本質に触れ、音楽の喜びを感得し、将来にわたって必要となる音楽の感じ方や学び方を確実に身に付けていくことができると考える。